サイゾーウーマンカルチャーインタビュー精子バンク商業化は人の幸せにつながる カルチャー 『生殖医療の衝撃』著者・石原理氏インタビュー(前編) 「精子バンクの商業化は多くの人たちの幸せにつながる」生殖医療の最前線の医師が語る、日本の家族観の問題点 2016/11/25 15:00 インタビュー不妊治療 ■未婚女性から生まれる子どもが増えると出生率も向上する 『生殖医療の衝撃』(講談社現代新書) ――日本の場合、父親の精子に何かしらの異常があって提供を受ける、かつヘテロセクシャルの夫婦でなければなりません。精子提供は医療的な要素をすごく感じますね。 石原 それは、日本においては婚姻しているカップルから生まれた子どもと、婚姻していない女性に生まれた子どもに明確な差別があるからだと思います。これについては、国連からずっと指摘され続けていますが、同性婚どころか選択的夫婦別姓すら許されていない。 極めて古典的な日本の家庭像が定着していて、未婚女性から生まれる子どもの比率は全体の3%くらいしかいない。ほとんどの国は40%から50%は、未婚女性から子どもが生まれますし、アイスランドに至っては75%が未婚女性の子どもですから。 ――画期的な技術があっても、選択ができないようでは、何とも不平等な気がします。 石原 日本はいろいろなパターンや選択肢を許容する幅が狭すぎる。またそれに対して社会的なサポートがないのです。「精子バンク」の商業化は、提供精子の安全性を追求していく上でも極めて有効です。要するに製品として精子をモノ化してしまうことによって、一種の資源となり、扱いが冷静になります。馬や牛でも種付けという行為があります。単純にそれだけのことだと割り切ると話は理解しやすくなる。その方が多くの人たちの幸せにつながると思います。 しかし、日本の社会でそうした考えが受け入れられるようになるには、まだまだ時間がかかるでしょう。ただ、10年たったらどうなるかわからない。重大なのは法の整備であり、基本的な枠組みです。 日本では出生率の著しい低下が社会問題化していますが、婚姻していない女性から生まれる子どもが増えると、出生率も向上する正の相関関係を示すのが常です。保育所が不足していることも問題ですが、それ以外にもやらなければいけないことがたくさんあるはずです。 (末吉陽子) (後編につづく) 前のページ12 最終更新:2017/06/21 18:38 Amazon 生殖医療の衝撃 (講談社現代新書) 「デキ婚」「授かり婚」なんて言葉が廃れる日が来るのだろうか…… 関連記事 「不妊治療には医学的な限界がある」専門クリニック院長に聞く、通院する女性の苦悩不妊治療6年間600万円の末たどり着いた「里親」という選択 漫画家・古泉智浩さん遺伝子にこだわる向井亜紀と、姓を残したい野田聖子。不妊治療で浮き彫りになる法の難しさ「治療を終えても不妊は終わらない」子どものいない人生を受け入れるために大切なこと出生率は変わらないのに、「セックスしない国・日本」を問題視する不思議 次の記事 AKB48『紅白』選抜総選挙に猛ブーイング >