サイゾーウーマンカルチャースポットコシノジュンコが語る、プロの流儀 カルチャー 「バカ田大学 夏期講座」コシノジュンコ講師 「流行なんてバカバカしい」コシノジュンコが語る、第一線であるための流儀 2016/10/30 21:00 スポット ■ドラムTAOと沖縄の花火で魅せる、新たなコシノジュンコ また、コシノ氏は12年からドラム・アート・パフォーマンス集団「TAO」の衣装デザインを手掛けている。当初は和太鼓が全然好きではなく「何が面白いの?」と感じていたが、初めてTAOの公演を見た際に、「この人たちの衣装を取り換えたら面白いな」と急に思い立ったのだとか。 「もともとの期待値がゼロだったから、真っ白な中にたくさんのイメージが湧いた」と語るコシノ氏は、今ではTAOの虜になっている。その理由として「やっぱり、私の中に岸和田だんじりの血が流れているからだと思う」と、あらためて自身のルーツについて触れていた。 また、沖縄に泊まったときに見た花火がきっかけで、6年程前から、沖縄の琉球海炎祭で打ち上げる花火もデザインするようになったというコシノ氏。「花火師に、オペラと花火を融合したら面白いと発言したら『じゃあコシノさんがデザインしてください』と言われて、やるハメになった」そうで、花火師さんにイメージを正確に伝えるには、消えてしまう言葉で伝えるのは難しく、自身のイメージを絵にして伝えているのだとか。 さらに、沖縄返還40周年にあたる12年には、ドラゴンをイメージした花火をデザイン。当日は大雨が降ってしまったものの、花火は決行することに。すると煙の中に、水墨画から浮き出たような美しいドラゴンが形作られ、夜空に舞い上がったんだそう。「肉眼で見ないと伝わらない、あの美しさを見ることができたのは雨だったからこそ。何が起こるかわからないけど、もしやめたら何も起こらなかった」と、感慨深そうに当時を振り返った。 これらの新しいジャンルへのチャレンジについて、「違った形のファッションショーだと思っている。自分にできないと思ったら終わりだけど、まずやってみることが大事なんじゃないかしら」と、そのバイタリティを見せた。 ■コシノ氏のモットーである、“あいうえお作文”とは? 最後はセンスやビジョンなど、コシノ氏の作品の根幹であるだろう感覚の話に。コシノ氏は「センスが良いとは、瞬間的な状況判断ができること。いろいろなことを体験したり知識を持ったりすることが大事」と、センスは経験で磨かれていくことを語った。また、ビジョンを持つことの大切さについても「まず頭を動かすためには、体を動かさなければいけない。運動は“運”が“動く”。後ろではなく前だけを見ることになるのが運動」と、“運動”の漢字が持つ教えに共感しながら、今でも週に2回ほどジムに通っていると明かした。 コシノ氏は自身のモットーを「かきくけこ」のあいうえお作文で発表した。それは、「感謝、希望、クヨクヨしない、健康、行動」。今日の無事を感謝し、常に希望をもってクヨクヨせず、絶対に健康で、思ったことは躊躇せずに行動する。このモットーは仕事だけでなく生きる上で大事にしているという。 そのほかにも、“日本”をテーマにローマ国際映画祭で行ったオープニングイベントや、琳派400年記念祭でのファッションショーなど、世界に日本の美を発信してきたこれまでの活躍を、映像を交えながら解説し講座は終了した。 講座中、「古くならないために、誰もやらないことを思い切りやるしかない」「もしやめたら、何も起こらない」と作品を語っていた言葉は、常に自分自身にも向けられている言葉なのだろう。自分の経験をセンスに変えて、常に新しい“コシノジュンコ”というビジョンを持ち続けること。静かな語り口調の中に滲んでいた、自分への妥協の無さこそが、数十年もの間、第一線で活躍し続けている“コシノジュンコ”としての生き方なのだと感じさせる、貴重な講座だった。 (石狩ジュンコ) 前のページ12 最終更新:2016/10/30 21:00 Amazon 『人生をデザインする48の方法』 ジャニーさんが古くならないのもそういうワケだったのか! 関連記事 「男に媚びを売ってポジションをつくる女が増えている」ピンク映画界の巨匠が語る、現代女性の生き方いまは“多様な女性の生き方”の過渡期、現状を悲観せず生きやすい道を選ぼう「所詮オカマ」「所詮売れ残りの女」、そこから始まる生き方とは?ブスだって報われたい! 現代女子の道を照らす『源氏物語』二人の不美人「私は劣化7年目」加藤ミリヤに直撃! 詐欺メイク・すっぴんメイクら“女子”の呪縛ワードを斬る 次の記事 松岡『ミタゾノ』好発進は嵐のおかげ? >