興和サイン・高橋芳文代表インタビュー

歌舞伎町は「エンターテイメントシティ」化!? 看板から考える2020年東京の景観

2016/10/22 15:00
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興和サイン・高橋芳文代表

 総経費が3兆円を超える試算が出るなど、問題が山積する2020年東京オリンピック・パラリンピック。一方で渋谷、銀座、大手町などの主要エリアでは再開発工事が急ピッチで進行している。20年に向けて、東京の街並みはどのように変化するのか? 訪日外国人にも人気の、新宿・歌舞伎町のネオン街はどうなるのか? 歌舞伎町の屋外広告「I❤歌舞伎町」を手がけた興和サインの高橋芳文代表に、看板という観点から4年後の東京の景観を予測してもらった。

■四谷はオリンピックスポンサーのものに?

――20年に向けて、街のあちこちで再開発が行われています。看板という観点から、東京はどのように変化すると思いますか?

高橋芳文さん(以下、高橋) 看板(屋外広告)の規制は、厳しくなっています。まず景観法や東京都の規制があり、さらに景観行政団体になっている区は、それぞれ独自のルールを制定しています。例えば、新宿区は区内をいくつかのエリアに分けていて、歌舞伎町と四谷・市ヶ谷近辺では異なるルールを適用しているんですね。

 歌舞伎町は「エンターテイメントシティ」として位置付け、看板もエンターテイメントの1つとして取り込む。四谷や市ヶ谷の外濠地区は、建築物や環境との調和を重視し、必要最小限の大きさにとどめる。これが現在オフィシャルに発表されている新宿区の方針です。場所の個性を生かす目的もありますが、僕は外濠地区がオリンピックのマラソンコースに予定されていることも大きいと思いますね。


――オリンピックの、どのような影響が考えられるのでしょうか?

高橋 オリンピックには、オフィシャルスポンサーのための祭典という側面があります。ですから、テレビ放送されるマラソンコースの沿道は、スポンサーのための風景になるでしょう。オフィシャルスポンサー以外の看板が大々的に映ってしまってはマズいわけですよ。ですから、今のうちから細かく地域を分けて規制し、屋外広告を減らす流れにしているんじゃないでしょうか。

――となると裏には、あの大手広告代理店の暗躍が?

高橋 多少は影響があるかもしれませんが、屋外広告はマスメディアほど、その力が及ばない範疇なんですよ。屋外広告を扱う広告代理店や媒体社(※)もありますが、現状はビルのオーナーさん次第なので、それぞれが好きなように出しているんです。それが今の「ごった煮感」のある景観を作っているんですね。規制するのは自治体なので、裏にどこまで代理店が絡んでいるかはわかりませんが。

(※)出版社、テレビ局など、媒体を所有する会社。この場合は、屋外広告スペースを所有している会社のこと。


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