【連載】永田町の「謎」 現役議員秘書がぶっちゃける国会ウラ情報20

国会が火事!? 火災報知機より大音量のベルで始まる本会議の裏側

2016/10/03 15:00
hisho20_mini.jpg
Photo by Martin Abegglen from Flickr

 国会議員秘書歴20年の神澤志万と申します。セクハラ、パワハラ当たり前! 映画もテレビドラマもかなわないリアルな国会とその周辺について、現役議員秘書が暴露します。

■心臓に悪い!? 本会議の開会ベル

 9月26日から11月30日まで66日間の日程で第192回臨時国会が始まり、予算委員会を筆頭に本会議、委員会と各党の分野別勉強会などなど、国会議員および秘書たちは多忙な日々を過ごしています。

 この夏に初当選した参議院議員たちは、とてもフレッシュで、やる気にあふれているようです。秘書もほぼ決まったようで、議員と一緒に歩いている姿を見て、「新しい職場が決まったんだね」と思うこともしばしば。また、最新の『国会議員要覧』(国政情報センター)や『政官要覧』(政官要覧社)に掲載された議員・秘書名の一覧を確認して、「あの秘書があの事務所にね~」と派閥内の「いろいろ」を想像したりしています。

 国会内がいろいろ入れ替わるので、仕事でやりとりをする議員の事務所に知り合いの秘書がいると、なにかととてもスムーズです。知り合いの数も秘書の優秀さがわかる基準のひとつですね。


 ところで、国会の本会議には衆参ともに、開会前の「予鈴」、そして開始時の「本鈴」として、ものすごく大きなベル音が永田町に鳴り響きます。初めて聞く人は、「火事なのか」って思わず逃げようとしてしまうほど大きいんです。神澤は、この音を20年間も聞いているので、今ではすっかり慣れてしまい、ベル音を聞いても動じません(笑)。

 でも、臨時国会開会日の本会議の時に、近くにいた新人秘書が、予鈴を聞いた途端に目が飛び出るんじゃないかと思うほど驚き、「神澤さん、どうしてそんなに落ち着いているんですか? 火事ですよ。大丈夫ですか!?」とパニクっていました。この様子を見て、「そういえば自分も新人だった頃は、ベル音を聞くたびに驚いていたなー」と懐かしく思いました。何年たっても慣れずに「心臓に悪いから、音を小さくしてほしい」とぼやく秘書もいるくらいです。

 ちなみに今年の6月に参議院議員会館でボヤ騒ぎがありましたが、その時の火災報知機の音が本会議のベル音より小さくて、秘書はみんな落ち着いて仕事していました。ただ、あまりにも長く音が続くので、やっとドアを開けて、放送に耳を傾けたという笑えない話があります。

 それから、10年以上前の話になりますが、旧議員会館の時代に議員会館の裏口から侵入しようとした犯人が、女性の衛視(院の職員で、いわゆるガードマン)と揉み合いになり、灯油の入った一升瓶を廊下の奥の方へ投げ、火をつけた事件がありました。

 その時、神澤も議員事務室の中で仕事をしていたのですが、なんだか「ポワーン、ポワーン」というような音が聞こえてきました。音量も小さいし、「なんだろうなー」と思いながらも仕事を続けていたら、なんだか煙い。ドアを開けると、階段の方から白い煙がもくもくと最上階まであがってきて、やっと「何かがあったんだ」と気づきました。


 避難指示の放送もなかなかされず、やっと放送があったと思えば「自室待機」で、何が起きているのか情報もさっぱりなくて、とても不安だったことがありました。現在の会館は、その時の教訓が生かされて、緊急事態でも安心な避難ルートが用意されています。

■傍聴には一般傍聴券が必要

 読者の皆さんには、この心臓に悪いといわれる本会議のベル音を一度、聞きに来てほしいですね。その時は、せっかくですから、本会議や委員会を傍聴していただけたらと思います。

 衆議院本会議の場合、傍聴席は、貴賓席、参議院議員席、外交官席、公務員席、公衆席および新聞記者席と分かれています。一般の方は、本会議が始まる30分前から先着順に交付される一般傍聴券が必要になります。また、議員の紹介を受けて傍聴することも可能です。

 重要法案が審議される場合や、天皇陛下がご臨席される国会開会式は人気があるので、あらかじめ議員事務所に申し込んでおいた方がいいと思います。委員会は議員の紹介がなければ傍聴できませんが、所属している委員会以外でも手配は可能ですので、躊躇せずにお願いをしてほしいと思います。

 あいにく、いつ会議が開かれるか、ということについては前日でないと確定しないことが多く、あらかじめ日程を決めて国会を訪問したい場合は、参観手続き(衆議院または参議院内の見学)をおすすめします。希望する日の60日前からFAXで申込みをすることができますし、少人数であれば、当日その場で申し込むことも可能です。

 もし本会議開会中で参観ができなくても(セキュリティ上、本会議の前後1時間は参観中止)、本会議を15分間傍聴できる「短時間傍聴券」に変更してもらうこともできます。これは希望しなければ変更してもらえません。職員の方から親切に教えてくれるわけではないので、注意してくださいね。ちなみに、一般で申し込むより、議員事務所の紹介を受けたほうがいろいろ特典があります。

 会議ではコワい顔をして議論している議員たちが談笑しているなど、テレビでは放送されない、本会議や委員会の裏側は「面白い」と言っていただくことが多いです。おみやげを買える売店や食堂もオススメです。売店や食堂は議員事務所が案内をしないと入れないので申し込まれて傍聴された方は、ぜひ観光気分でお越しください。以前ご紹介した吉野家国会支店限定の牛重弁当も食べに来てほしいです。

最終更新:2016/10/03 15:00
国会議員要覧 平成28年8月版
一度くらい見物に行ってみるか