ガーリーモデルを乗せた軽トラが東京を走る!! 4周年「LARME」が放つ“浮遊してる”感
2012年に創刊されて以来、異例の人気を博し、003号より隔月で定期刊行されるようになった「LARME」(徳間書店)。今号で早くも4周年を迎えました。「もしも一度でもラルムを好きだと思ってくれたなら、この1冊だけは読んでほしい。伝えたいこと、大切にしたかったものはすべてここに在ります」。今号の発売日前日、「LARME」公式Twitterアカウントに編集長・中郡暖菜氏のこのような表明があることからも、今号に対する熱意と意欲がうかがい知れます。
また「LARME」の背表紙には、毎号その号のテーマが書かれてきたものですが、今回は初心を意識してでしょうか、創刊から謳ってきたキャッチコピーと同じ「甘くて、かわいい(はぁと) 女の子のファッション絵本。」でした。大変象徴的ですね。4年間の集大成といえる今号ですが、内容は一体どうなっているのでしょうか。早速、見てまいりましょう!
<トピックス>
◎Floating Syndrome Gray VS Beige
◎SINCERELY, 菅野結以、1450days。
◎Anything essential is invisible to the eyes 大切なことは目に見えないものだ
■従来の路線に戻りつつある「LARME」
本誌をパラパラとめくってみますと……豪華絢爛、好き放題にやってくれています! ヤン・シュヴァンクマイエルの映画『アリス』(1988年)を本格的に模し、静岡県の「ヴァンジ彫刻庭園美術館」で撮影した巻頭特集、写真家・蜷川実花氏やその他有名クリエイターとコラボした企画「操り人形」、工業地帯や渋谷スクランブル交差点での大胆な撮影などなど……編集長の思う“かわいい”が、「これでもか!」とばかりに詰め込まれている気がします。「ファッション誌ではなく、写真集を読む感覚」と評されてきた、ビジュアルや世界観を重視する従来の「LARME」の姿がそこにあるのではないでしょうか。「えっちなカラダの作り方」「お部屋デートでのテク」などを掲載して、「俗っぽい男ウケ路線に転向か!?」と思わせた近頃の「LARME」の迷走っぷりが見られないのは、少々残念ではあるのですが!
また本誌で目立つ企画として、編集長とモデル6人との超ロング対談も。そこにはモデル本人の話そっちのけで編集長のパーソナリティに生々しく迫る内容もつづられています。菅野結以との対談では、「本当は自分が制作をしたい。だから人に厳しくなっちゃうんですよね。私がやりたい企画で、私がやりたい撮影だから、(略)もっとこうしたらよかったんじゃないか、ってついつい。怒鳴ったりはしないけど、そんなに優しい編集長ではなかったと思います」などと編集長としての葛藤を吐露し、また西もなかとの対談では、長年飼っていた愛犬が亡くなり、その悲しさを017号の表紙と無人島での企画に表現したというエピソードなどを披露。
さらに、黒瀧まりあとの対談では、モデル引退を決意した彼女を説得したというエピソードに触れ、こう語ります。「私はこうしてまりあをモデルとしてのスタート地点に導けたことが本当によかったと思ってるよ。まりあは見た目もかわいいし、性格もいい子だから、かわいいかわいいって周りは甘やかしちゃいますけど、それだけじゃやっぱりだめだから。ここがだめだから練習しようねとか、ここはもうちょっとこうしていこうねとか。今までそれは私の役目だったけど、これからはプロフェッショナルな方々に安心して任せられます(略)。そしてまりあにはラルムで一番を目指してほしい」。と、大御所プロデューサー並の御意見を聞かせてくれます。編集長、ものすごい自信です。
なんにせよ、ファッション誌では裏方に回ることが多い編集長のエゴやスピリットが、ここまで強烈に反映されている雑誌は、最近ではなかなか珍しいのではないでしょうか。よく言えばアーティスト気質、悪くいえば自己主張の激しい編集長の作る雑誌だからこそ、一部の読者にビビビ! と響き、熱烈なファンを獲得していくのかもしれません。