『わたしの容れもの』トークショー

角田光代と光浦靖子が見つめる「体の変化」――女の老いと更年期を愉快に語る!

2016/07/16 19:00
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左から、角田光代氏、光浦靖子氏

 年齢を重ねるごとに、体形や体質は変化する。二千年前に書かれたとされる東洋医学の文献『黄帝内経(こうていだいけい)』には、「女性は7の倍数の年齢の時に体の変化を迎える」という記述もある。21歳で体は成熟し背丈は伸び切り、28歳で筋骨や髪の長さが極まり、35歳で顔の色つや、髪、頬のハリにかげりが出始め、42歳で顔がやつれて白髪交じりに、49歳で肉体が衰え始め閉経を迎える、といった具合に。

 先日、角田光代氏によるエッセイ『わたしの容れもの』(幻冬舎)が刊行された。減らない体重や増える白髪など、老いにより自身の体に起こった大小さまざまな変化について飄々と捉えながらも、不思議とワクワクしてその様を見つめている角田氏の朗らかさが垣間見える1冊となっている。角田氏が45歳の時に「星星峡」(同)とwebサイト「幻冬舎plus」で連載をスタートした、約2年半に及ぶ連載がベースとなっている。

 本書の刊行を記念して、光浦靖子氏を特別ゲストに迎え、代官山蔦屋書店で行われたトークイベントの模様をレポートする。会場には20~50代まで幅広い年齢の女性客が多く詰めかけた。

◎女同士でも体の不調はわかり合えない!?
 2人は同世代かつ、角田氏の連載が始まった当時の年齢が、現在の光浦氏と同じ。そんなことから互いに共感するポイントがたくさんあるだろうと思われたが、まず本書を読んだ感想を聞かれた光浦氏は、「角田さんと私は全然体が違った!」と驚きを隠せない様子を見せた。

 本書では、角田氏が元々めったに風邪をひかず、虫歯にも花粉症にも無縁だったことが書かれているが、光浦氏は「私は昔から虚弱体質で、骨折や大きな病気はしないものの、風邪や下痢などの小さな疾患は常に抱えている」のだとか。さらに思い込みも激しいと言い、スタジオ内が乾燥していたり新幹線で前の席にいるおじさんが咳をしたりすると、「あー嫌だな」と感じ、後日本当に熱が出てしまうそうだ。


 一方で角田氏は、昨年も2度ほどお酒を飲んでいた時に転んで骨折したり、腰関係の問題が増えたりなど、外科的なあれこれが多め。互いに不調の特徴を語り合っている中で、「実は、こうした体の症状とか痛みとかの話は、女性同士でもわかり合えないことの方がたくさんあるんですよね」(角田氏)としながらも、“違いだらけ”であるからこそ、話は大いに盛り上がっていた。

 そして話題は光浦氏が感じている、最近の体の変化について。「髪の毛の脱毛がひどい」という氏は昔、1つの毛穴から3本毛が生えていることが毛根検査で判明したほど、毛量がかなり多かった。毛を強く引っ張られたとしても痛みを感じず、さらに抜けないことが自慢だったそう。しかし最近では、どんどん抜けて毛量もなくなっていっており、不安を感じているという。

『わたしの容れもの』