ウォブクリニック中目黒・高瀬聡子院長インタビュー

そのシミ、実は「肝斑」かも……!? “美肌のプロ”皮膚科医に聞く、正しい知識と治療法

2016/06/22 21:00
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ウォブクリニック中目黒の高瀬聡子院長

 「美魔女」といわれる人は、こぞって年齢を感じさせない肌を持っている。良くも悪くも見た目の印象を左右する「肌」は多くの女性の悩みの種だが、特に「シミ」は天敵といえるだろう。

 シミと一口に言っても、その種類は1つではない。近年、美意識の高い女性の間で認知度が上がっている「肝斑」をご存じだろうか。一般的なシミとは違って紫外線が主な原因ではない肝斑は、治療も少しやっかいなものだ。美肌治療のプロフェッショナルであるウォブクリニック中目黒の高瀬聡子院長に、話を聞いた。

■30~40代の女性を中心に発症

――数年前まで肝斑はあまり知られていませんでしたが、最近その認知度が上がったのはなぜでしょうか?

高瀬聡子院長(以下、高瀬) 肝斑は30~40代の女性を中心に発症するので、昔は第2子を出産すると出てくるシミと言われていました。その頃から「女盛りの時に出る、厄介なシミ」という認識はあったと思いますが、治療を受けるという発想は、ほとんどありませんでした。なので、それまでは患者さんがクリニックに来ない限りは肝斑という診断を受けることもないし、もちろん効果的なお薬というのもクリニックでしか処方していませんでした。


 それが2007年に第一三共ヘルスケアから「トランシーノ」という内服薬が登場し、肝斑に効果的な市販薬として売り出されました。コマーシャルが打たれたこともあり、肝斑という疾患、シミの種類があるのだと、多くの女性の間で認知されていきました。

 その結果、「もしかして私のシミは肝斑なんじゃないか」と思ってクリニックに来る女性が一気に増えました。今は30代から50代まで、肝斑の治療をされている方は非常に多いですね。

――肝斑とシミの違いはなんですか?

高瀬 原因ということで話すと、一般的なシミは基本的に紫外線による影響が大きいのですが、肝斑の場合は、紫外線よりも女性ホルモンの影響が大きいです。30~40代の女性が発症することが多いのは、女性ホルモンのバランスが画期的に動く年代だからだといわれています。

 さらに微小炎症が原因になるともいわれています。例えば洗顔の時やスキンケアの時の肌をこする刺激が蓄積されることで、皮膚の下に微小炎症が起き、それがメラニンを生成させて肝斑を悪化させるのです。


 見分け方としては、肝斑は左右対称に出やすいもので、目の周りにコの字型に出たり、おでこの髪の毛の生え際、左右の耳の前、上唇の上に出るという方もいます。

 また、一般的なシミの場合、普通の肌とシミとの境界がはっきり見られることが多いのですが、肝斑の場合は、境界がはっきりしないことが多いです。さらに色味は薄茶でカフェオレに近い色、というのが特徴として挙げられます。

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左が肝斑、右はシミ

 見極めが難しいので、自己判断で肝斑を一般的なシミだと勘違いしたままお手入れされる方もいます。シミに効くとして売られている市販の薬や化粧品を肝斑に使ってしまったからといって悪化することは基本的にありませんが、効き目はあまりないといえるでしょう。

 ただ、肝斑だけという方は非常に少なく、紫外線によるシミやそのほかのシミも混ざって肌に表れている方が多いです。その場合、治療にも優先順位があり、順番を間違えてしまうと、肝斑が悪化してしまうこともあります。それらも含めて考えると、専門医に見極めてもらった上で適切な治療を受けことが一番確実だと思います。

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