大久保ニューの【美のぬか床】 第2回

美容点滴のセレブ体験、口をにんにく臭くしながら悟った「貪欲な美魔女の心」

2013/03/16 19:00

美しくなりたい――世の女たちの狂おしい思いを、「42歳、ゲイ、汚部屋に一人暮らし」の漫画家・大久保ニューが担ぎ込む! 古今東西あらゆる美容法に食らいつき、美を追い求める女の情念まで引きずり出す――

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 まずはJ子という女を紹介させていただきたい。当コラムの担当編集である26歳。ど中年の私から見れば、十分に「可愛いお嬢さん」と思えるが、「朝晩必ずシートマスク」や、「3日に一度はピーリング」と、かなりの美容フリークだ。「そんなに頑張らなくても、十分にキレイだよ」という私の言葉など、J子の耳には念仏だろう。なんせJ子は青春時代にニキビで悩まされたらしいのだ。十代で体験した劣等感は、オカマの言葉なんかで簡単に癒やせるものではない。お気の済むまで美容砂漠をさまようがいいわ☆

 そんなJ子から「美肌&美白点滴をしてみませんか?」との誘いがあった。初めて聞いた言葉だが、その名の通り、美肌&美白成分(ビタミンCとアミノ酸)を直接体内に注入するらしい。つい最近「美白をしないでスキンケアをしても無意味」という怖い話を聞いたばかりなので、強烈に心が揺さぶられた。詳しく調べてみると、美肌&美白点滴には「メラニン生成の抑制」やら「肌荒れ改善」の効果もあるらしい……ゴクリ。「一番強いヤツをぶち込んでほしい☆」前のめりで誘いに乗るぜよ!

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まばゆすぎるエントランスにたじたじ☆

 今回、施術をしていただく場所は、「東京イセアクリニック(TOKYO ISEA CLINIC)」銀座院。エレベーターを降りると、白く輝く近未来的なロビーが広がっている。まるで洋楽のPVに出てきそう……(実際、黒木瞳のドラマの撮影に使われたらしい)。マイケル・ジャクソンが通院していてもおかしくなさそうな高級感にたじろいでいると、広報の下谷さんが我々を迎えてくれた。長い黒髪がお似合いの下谷さん……お召しになっているそのシャツはエミリオ・プッチでは!? そしてアシスタントとして紹介された村山和実さんという女性が、ちょっとお目にかかれないレベルの美人さんだと思ったら、2011年のミス・インターナショナル日本代表!? 近未来……プッチ……ミス日本……我々が気後れするには十分過ぎる材料だ。「2人とも、おキレイですね……」なぜか私にだけ聞こえる声で囁くJ子。「緊張してんじゃないわよ!」と思いつつも、問診票を記入する手が震える私だった……。

 そう、ここはクリニックなので、施術前に丁寧なカウンセリングがある。診療室に通されると、そこには松坂慶子似の三苫先生。一瞬、「夜の診察室」という言葉が浮かぶが呑み込み、肌の相談。先生は全ての施術、つまりは整形や豊胸などもできるスーパードクター。「何でも聞いてください」との声に、「ピーリングが肌によくないって本当ですか!?」と早速食いつくJ子。「どんだけ好きなのよ?」と呆れたが、J子の瞳は真剣そのもだ。「乱用せず、しっかり保湿をしていれば大丈夫」とのこと。「よかったー☆」と喜ぶJ子に場の空気もなごみ、私の下卑た心もゆるみだした。ゲヒヒ☆


 「今、整形をする方から『この顔にしてほしい』ってリクエストの多い芸能人って誰ですかぁ?」サイゾーウーマンらしい質問でしょ? 人気ランキングの通り「綾瀬はるか」なのかと思いきや「AKB48が人気ありますね……特に板野友美さん」と言われ、驚いてしまった我々。「え、だって、あの顔は……」と、腑に落ちない感もあるが、これは「実際に整形する人がなりたいと思う顔」なのだ。金を払って変身するならば、手堅い成功例を選ぶのもわかるような気がする。そして最近は整形する男性も多いと聞き、これまた「芸能人だと?」と尋ねてみると、男性は「自分の顔から、どうすればよくなるのか」を冷静に聞いてくる方が多いらしい。逆に女性は、自分の顔立ちを無視して「涙袋がほしい」とか「外人みたいな二重にしてほしい」とか、夢見がちな人が多いとか。三苫先生いわく「整形は料理。素材を活かした調理法が好ましい」とのこと。「マグロは牛ステーキにはなれないんです」って、そりゃそうか……。

『「第1回国民的美魔女コンテスト」グランプリ 草間淑江 44歳 美魔女 Beauty days』