サイゾーウーマンカルチャー女性誌レビュー「CLASSY.」の“痩せなくていい”の限界 カルチャー [女性誌速攻レビュー]「CLASSY.」7月号 “痩せなくてもすっきり見える特集”で女性誌の限界を露呈した「CLASSY.」 2016/06/20 17:00 CLASSY.性誌速攻レビュー と私怨はこのくらいにして、「痩せなくてもすっきり見える夏」全ページに漂う「当たり前感」について考えてみましょう。いつもの「CLASSY.」ならもっと読者の悩みをエグった構成になると思うんですよ。こと読者の「ダサさ」に関してはグイグイくる。しかし「体型」に関してはそこまで踏み込めない。もちろんモデルだけでなく「ぽっこりお腹が悩み」とか「脚が太くてスタイルが決まらない」という読者も登場させ、リアリティに腐心していますが、これがまたまったくぽっこり感や脚太感が見いだせない方々なのです。全方位の女性に向けて送っているように見せかけて、おそらくこの特集は「痩せなくてもいい人」を対象にした「痩せなくてもすっきり見える夏」。これが、イイ女となってイイ男との結婚を夢見る「CLASSY.」の限界なのでしょう。 ぽっちゃりさん向けの女性誌「la farfa」(ぶんか社)が創刊されたものの、あくまであちらは「ぽっちゃりさん」向け。世の中に一番多い、標準体重+5~8kg向けの悩みというのは、どの女性誌も救えないのだと実感しました……。 ■次期後継者の一人称が「俺様」だったら転職もやむなし しかしこれは「CLASSY.」だけの矛盾ではなく、女性誌の痩せ見え企画最大の落とし穴。結局ファッション誌は、夢と理想とロマンのみを語った方が収まりいいのでしょう。 そういう意味では今月号の着回し企画「梅雨でもオシャレな6月の着回しDiary」はまさにそれ。「一生懸命だが空回りして失敗しがち。明るい性格で男女ともに友達が多いが、彼氏は1年前に別れたきりいない」という飲料メーカーの営業女性がすっ転んで資料をドサーっとばらまいたところを、さっと助けてくれた優しい男性。翌日出社時刻ギリギリで会社に滑り込んだら、なんと昨日助けてくれた男性が自分の上司に……という展開。なんとその上司、会社の次期後継者でかなりの“俺様”性格。だけど実は苦労人でコンビニのチョコが大好き、とのこと。 一方、この営業女性もなかなかのキワモノで「仕事は定時で切り上げて、合コンへ! 地図アプリを使ってもお店にたどり着かなくて、遅刻寸前!」「今週は外回りが多め。気合を入れて出勤! のはずが、髪にカーラーついたままだった~っ!」と、日本中の綾瀬はるか願望を煮詰めたようなドジっぷり。それに対して「社員証が落ちてたぞ、俺様に拾ってもらって光栄だな」「プレゼン資料の確認中『これ食べとけよ!』って御曹司サマからチョコの差し入れが」と、独特の愛情表現を繰り出す御曹司。 明るい性格のドジっ娘が、ちょいとひねくれたエリート御曹司と外回り中、突然の雨に打たれながらなんかいいムードになっちゃう……少女漫画もびっくりの昭和的シンデレラストーリーにはため息しか出ません。 「白馬に乗った王子様なんていない」と言われれば言われるほど、虚構の世界にそれを求めてしまう。「CLASSY.」の着回し企画は厳しい現実の揺り戻しだと思うと、落とした資料は自分で拾うしかないリアルOLさんの背中をただただ“あすなろ抱き”したい……そんなことを思う、今日この頃です。(西澤千央) 前のページ12 最終更新:2016/06/20 17:00 Amazon CLASSY.(クラッシィ) 2016年 07 月号 [雑誌] むっちりドジっ娘がモテる世界を早く描いて! 関連記事 女性誌最大のタブー! 「CLASSY.」の着回し企画で、10kg増を目指す劇団員女が主人公に「派手=品がない」「地味=女を捨てた」……男性の偏見に怯える「CLASSY.」がまさかの姉御路線今なお“マネジャー女”に勝機を見出す、「CLASSY.」の一向にこなれぬモテ言説こなれ狂いの「CLASSY.」が、一番モテる服=自己主張のない服と必死の喧伝愛されないのは服のせい! 「CLASSY.」のトンデモ発言は真実だった 次の記事 藤田ニコル、歌手デビューに暗雲 >