サイゾーウーマンカルチャーインタビューピンク映画の巨匠が語る現代女性の生き方 カルチャー ピンク映画界の巨匠・浜野佐知監督インタビュー(前編) 「男に媚びを売ってポジションをつくる女が増えている」ピンク映画界の巨匠が語る、現代女性の生き方 2016/06/03 16:00 インタビュー浜野佐知 ■自分を最後に守るのは自分の自尊心 ――今の女性の課題はなんでしょうか。 浜野 私たちの世代は、男中心の社会の中で女には何もできないと言われ、生きづらかった。でも、だからこそ、戦う相手は男ジャパンだ、とはっきりと敵が見えていたから喧嘩を売りやすかった(笑)。絶対に負けない、勝つまで戦うという信念を持っていれば戦えた。そういう意味では生きてきたっていう実感がありますから、私にとってはいい時代を生きてきたかもしれないですね。 映画界は典型的な男社会ですからね。「セクハラ」や「いじめ」の雨嵐。でも、セクハラなんて言葉もなかった時代ですから、自分が受けているものが何なのかもわからず、ただがむしゃらに突っ走ってきました。何が何でも監督になるぞ、という一念だけが支えでしたね。監督にさえなれば、こいつらみんなまとめていじめ返してやるって(笑)。私が60歳になった時、20歳の自分に「あんたは間違ってなかったよ。だから安心して真っすぐここまで歩いておいで」って言えるような人生を歩む。そのためには自分にウソをつかないこと、それだけを守って生きてきましたね。 今の時代は戦いの相手が見えてこないことが大きな問題だと感じます。男女雇用機会均等法とか男女共同参画法とか、一見差別がなくなったように見えるから、実際の敵がどこにいるのか、敵を見定めるということが難しくなってきた。でも、敵は間違いなくいるし、日本が男ジャパンである限り、女を自分と平等の存在として認める男なんていないと思います。若い世代はともかく、会社や組織の中では、出る杭は叩かれると思ったほうがいい。 でも、まずは叩かれるところまでいくことが大事。そうしたら敵が見える。相手に「ヤバいなこいつ、今のうちに叩いておこう」と思わせればこっちのもの。だって少なくとも認めさせているわけですからね。相手に叩かれれば同じ土俵で対等に戦える。そのためには、1回叩かれれば、100回叩き返せるくらいの自分をつくりあげていくことです。 ――現代女性が生きていく上で大切なことはなんでしょう。 浜野 自尊心を高くもつことでしょうか。案外自分の評価を低く見がちな人がいます。でも、自分を最後に守るのは自分の自尊心だということを忘れないでほしいですね。 一番愛さなきゃいけないのは恋人でも夫でも子どもでもなく、自分自身だということです。自分を愛して、自分を守る。自分が傷つけられそうになったら全力で戦う。たとえそれで社会から弾き飛ばされようと、人間関係が壊れようと、そこで自分を殺してしまったら、全てが終わってしまうと思いますよ。 (田村はるか) (後編に続く) 浜野佐知(はまの・さち) 1948年生まれ。映画製作会社「株式会社旦々舎」代表取締役。男性中心であった映画界において初めて女性監督という立場を確立させた。監督・プロデューサーを兼任し、「性」を女性側からの視点で描くことをテーマに400本を越える作品を発表する。 ・性と健康を考える女性専門家の会総会シンポジウム 「性の健康の視点で考えるポルノ -資源としての女性・主体としての女性-」で講演 日時:2016年6月5日(日)13:30~16:35 場所:東京薬科大学千代田サテライトキャンパス(飯田橋) 前のページ12 最終更新:2016/06/04 15:33 Amazon 女が映画を作るとき (平凡社新書) 自分を愛してる? 関連記事 エロスのアイコン“団地妻”は「普遍的な女性像」――ロマンポルノ映画は女をどう描いたのか女だって女に癒やされたいときがある レズビアン風俗体験記“男社会”だった吉本興業の伝説的女性マネジャーが語る、セクハラ・パワハラと女の媚「男社会で働く女は男装のコスプレをする」中村うさぎが『恋の罪』で語る加藤諒、マスクで変装も眉毛で顔バレ! 意外と「ヤリ手」な一面も? 次の記事 C・ブラウンの娘のBDパーティーがすごい >