サイゾーウーマンカルチャーインタビュー自分語りが好きな「名前のない世代」 カルチャー 佐藤喬氏×古谷経衡氏対談 少年Aも小保方晴子も、アラサーちゃんもタラレバ娘も 自分語りが好きな「名前のない世代」 2016/06/01 15:00 インタビューアラサー ■同世代の女性は、そこまで自虐的にならないでほしい 古谷経衡氏 古谷 僕もそうです。モテたい、注目されたい。ルサンチマンとコンプレックスの塊です。それは認めざるを得ない。不特定多数の人に開陳する方が、82年生まれのスタンダードなのでしょうか? 佐藤 そうだと思います。それが必ずしも悪いわけではないのですが、あまりにそういう人が多い。峰なゆかさんの『アラサーちゃん』(メディアファクトリー)や東村アキコさんの『東京タラレバ娘』(講談社)は、僕たちの世代の女性をうまく表していますよね。アラサー女子なら誰もが「あるある!」とうなずくようなリアルなストーリーなのですが、やはり“自分語り”なんですよね。この世代を描くには、“自分語り”を抜きにしては語れないのかなと思います。 古谷 僕も、どちらの作品も大好きです。『東京タラレバ娘』に関しては、個人的にKEY君といういけ好かないイケメンが大嫌いですが、大嫌いということは好きなんですね。ルサンチマンと嫉妬の裏返しですね。名作ですよ。 佐藤 天才が描いた“自分語り”だと思うんです。「読み進めると思い当たるところがあって、つらいけれど、すごくわかる」と共感する作品です。もちろんフィクションですし、エンタメ作品なので、本当に醜い現実を見せつけるものではありません。でも、実際の30代前半の女性たちは、もっとしんどい立場に置かれていて、心底つらいと感じているのかもしれない。 古谷 特に今30代前半の女性だと、結婚する・しない、出産する・しない、キャリア志向、仕事にそこまで重きを置かない、趣味に没頭するなど、いろいろな境遇の人がいすぎますよね。 佐藤 女性の方が男性よりも、世間からの強い風にさらされるのだろうと思います。残念ながら現実問題として、日本はまだ男女の賃金格差も大きいですし、若い女性にばかり価値を見出す風潮がハッキリしているので……。 古谷 同世代の女性に対しては、そこまで自虐的にならないでほしいとは思います。若けりゃいいってものでもないし、僕は個人的に年上好きなので。女性の黄金期は40代であると勝手に思っとります。 佐藤 年を重ねる良さもありますよね。僕も古谷さんも含め、いろんな意味で、我々の世代は、これからが本当の勝負なんだと思います。 (構成・高田晶子) 佐藤喬(さとう・たかし) 1983年生まれ。フリーランスの編集者。著書に『1982 名前のない世代』(宝島社)、『エスケープ 2014年全日本選手権ロードレース』(辰巳出版)。編集作は『無所属女子の外交術』(はあちゅう著、KADOKAWA)、『栗村修の……』シリーズ(洋泉社)、『敗北のない競技』(土井雪広著、東京書籍)など多数。 古谷経衡(ふるや・つねひら) 1982年、札幌市生まれ。文筆家。NPO法人江東映像文化事業団理事長。立命館大学文学部史学科卒。ネットと「保守」、マスコミ問題、またアニメ評論などのテーマで執筆活動を展開する。著書に『左翼も右翼もウソばかり』(新潮新書)、『若者は本当に右傾化しているのか』(アスペクト)、『愛国ってなんだ』(PHP新書)など。最新刊は『ヒトラーはなぜ猫が嫌いだったのか』(コアマガジン)。 前のページ123 最終更新:2016/06/01 15:00 Amazon 1982 三船美佳も年生まれ 関連記事 小保方晴子の“白いワンピース”に感じた才能――「第二の瀬戸内寂聴になれる」発言の行方STAP騒動とは何だったのか? 小保方晴子氏の静かで強烈な怒りが込められた手記『あの日』外見の変化は問題じゃない! 「婦人公論」での瀬戸内寂聴との対談で明らかになる小保方晴子の本質元少年Aの改名後イニシャルを公開、「女性セブン」による“公人扱い”に募る疑問『東京タラレバ娘』はなぜ、結婚できない=「自己責任!」と女子を追い詰める? 次の記事 三代目・岩田、嫌いな女性のタイプで波紋 >