カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「婦人公論」6月14日号
外見の変化は問題じゃない! 「婦人公論」での瀬戸内寂聴との対談で明らかになる小保方晴子の本質
2016/05/27 17:30
「先生からお手紙をいただいて、一つわかったのは、先生の年齢まで生きられても、過去のつらい出来事を忘れることはないのだということです。私、忘れようとしていたのですよ」
「(手記を読んだ読者から)『あなたはこの難局を乗り切れば、第二の瀬戸内寂聴になれます』というお手紙もございました」
「今日の雨は私にとって恵みの雨。先生に安全に会いに行けるよう、神様が降らせてくれたのかも」
「執筆中は、ゴルゴタの丘を登るような気持ちでした。イエス・キリストが十字架を背負って丘を登って行く途中、聖女ヴェロニカが顔の血と汗をぬぐうための布をキリストに差し出したそうです。担当編集者は私にとってヴェロニカのような存在」
極めつきは「私の恋愛対象が研究だった」と語るところ。「愛した相手が、あまりにも美しく、大きく……」「でも、心を許してくれなかった。閉じられてしまいましたね。まさに失恋です」。小保方の研究者としての能力は正直よくわかりませんが、自らの立場を最大限に生かす、そのためのセルフプロデュースと表現力は抜群のもの……これだけは確かなようです。まぁそれが今回の騒動の一端を担っているんでしょうけど。
「男性からの攻撃は女性の“いけず”とはまったく性質の異なるものです。ものすごく暴力的で、本当に殺されると思いました」。研究者として注目を浴びたことで、男性研究者からの嫉妬に苦しんだと語る小保方。男を利用したり利用されたり、男に未来を託し男に裏切られ、「最後はひとり」になった女を、同じような経験を小説にすることで生き抜いてきた女が慰める。読者もいろいろ思うところはあるでしょうが、少なくとも「婦人公論」においては“語れる女”が勝ちなのだとあらためて痛感しました。
(西澤千央)
最終更新:2016/05/27 18:53