[女性誌速攻レビュー]「婦人公論」6月14日号

外見の変化は問題じゃない! 「婦人公論」での瀬戸内寂聴との対談で明らかになる小保方晴子の本質

2016/05/27 17:30

 そして「なにより大切にしている」のが、人を家に招き寄せること。「足腰が弱って、なかなか外出できなくなる」から、「人が気兼ねなく訪ねてこられるオープンな家にしておくことが大事」「外出できない分、社会をうちに呼びこまないと」。高齢者にとって、客人とは「社会」なのですね……。そしてここが最も重要かつ困難な部分ではないでしょうか。「ただ、70、80になっていきなりそういう環境を作るのは、なかなか難しいかもしれません。40、50代のころから自分が心地よいと思える人と関係を築き、風通しのいい家にしておく必要があるかと思います」。

 これはまさに人間関係の『アリとキリギリス』。体が動く元気な時期は、めんどくさい人付き合いから自由になることばかり考えてしまいますが、この時期に撒いた人間関係の種は人生の最終コーナーを回ったあたりで一気に花開く。しかし、年相応に健康な体、クリアな頭、良好な人間関係。豊かな老後を迎えるためのこの 3条件を叶えられる人がどれほどいるのか。まだ「老後のために1,000万円貯めろ」の方が現実的なような気がするのですが……。

■この場に白のミニワンピを着てくる胆力

 そして今号の「婦人公論」にはもうお一方、「最後はひとり」を猛烈に痛感しているであろう女性が登場しています。2年前いわゆる“STAP細胞騒動”で一躍時の人となった小保方晴子。今年一月には手記『あの日』(講談社)が発売され、ベストセラーになりました。「婦人公論」では瀬戸内寂聴が連載で『あの日』を取り上げ、小保方に熱烈なラブコール。それに応える形で小保方が 京都・嵯峨野の寂庵を訪ね、大型対談が実現し、ネット上ではその外見の変化が話題となりました。

 小保方はあの騒動以来、「うつ病の治療で通院する以外はほとんど外出することができず」「固形物がのどを通らない日も多く、体は弱っていく一方」で、『あの日』も「ほとんどベッドの中で書きました」とのこと。寂聴から手紙をもらい、外に出る決心がついたのだそう。過去に同じように作風や生き方をバッシングされた寂聴が当時の気持ちを語りながら、小保方を慰めるという形で対談は進みます。


 STAP細胞騒動の真実うんぬんより「やはりこの人タダモンじゃない」というのが、一通り読み終えての率直な感想です。寂聴との対談、しかも小保方は芸能人でも文化人でもない、いってみればイチ素人。にもかかわらず、パッションの化け物のような寂聴とほぼ同じ温度で自らを語るわけです。

婦人公論 2016年 6/14 号 [雑誌]