カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「CLASSY.」6月号

女性誌最大のタブー! 「CLASSY.」の着回し企画で、10kg増を目指す劇団員女が主人公に

2016/05/18 21:00

 どれを見ても「そのことで、おぬしになにか迷惑でもかけたか?」と言いたくなる文言ばかりですが、こういった「男女の間にある文化の違い」について作家・心理カウンセラーの五百田達成氏はこう言い放ちます。「まず、前提として、男はダサい生き物と思ってください。女性の服は女っぽくて可愛いという印象さえあればいいと思っています」。え……だってフェミニンなファッションは「メンズの心に響かない」のでは? ここで五百田氏が衝撃の一言を。

「それはCLASSY.世代の男性たちが“言いたいだけ世代”だから。本当は可愛いと思ってもツッコミたいのです」

 つまり「男性ホンネ座談会」で語られていたのは、男性がどんな服を好むかではなく「可愛い服着た女の魂胆なんか丸わかりの俺様」アピールだったのですね。これは目から鱗です。さらに「男性たちが女性のファッションに文句を言うもう一つの理由は、そのファッションが自分に向けられたものではないということ」「おいてけぼり感を感じるようなオシャレな服が苦手」と続き、結論として「年齢相応の服を選び、相手のためのファッションを着る」ことが世の男性たちとうまくやる処世術とのことでした。「あなたが喜ぶと思って~」という一言さえあれば、人生はうまくいく……わけあるかいな!

 男たちに女のファッションを否定させることは、「常に最先端のモノを買わせる」という女性誌の命題とは逆行する可能性もあるのに、愚直なまでにその道を突き進むところに「CLASSY.」の面白さがあるのだと思います。インスタグラムで注目もされたいし、男からもモテたいし、ウエストが楽な服も着たい。その相反する願望に「CLASSY.」として一切「正解」を出さず、読者はなんとなくモヤモヤしながら次号こそは「正解があるのでは」と期待する。巻末のモテや恋愛に関するページで、専門家に男女の「心理」は語らせても「社会」を語らせない。女性ファッション誌というファンタジーの世界に、社会という野暮な現実を介入させない工夫があるのでしょう。さぁこれを踏まえて、明日はなにを着ましょうか。アラサー女性のファッション迷走の日々は続くのです。
(西澤千央)

最終更新:2016/05/18 21:00
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