育児中の女性も在宅で正社員並みに働ける クラウドワーキングのプロが語る、成功の秘訣
■会社員時代の5倍以上の収入を得るウェブデザイナー
加藤若菜さん
続いて、自らの経験を語ったのは、ほとんどの仕事をクラウドソーシングで受注しているウェブデザイナーの加藤若菜さん(28歳)。高校卒業後、システムエンジニアやコンテンツディレクター、広告代理店の制作事業部勤務。2013年に独立した後、今では会社員時代に比べて5倍以上の収入を得ているという。
「大学受験を病気で失敗してしまいまして、高卒で19歳から働き始めました。ですが、もともと体が弱かったので、満員電車も厳しかったんです。さらに、残業も結構多い会社だったので心身症を患ってしまい、家でマイペースに仕事をしたいなと思うようになりました。また、両親がラーメン店を経営していて、共働きだったので、ずっとおばあちゃんが世話をしてくれていました。そうした環境もあって、自分は子どもが生まれても家で成長を見続けて、学校から帰ってきたら『おかえり』と言ってあげられるようにしたいと思っていました。その2つの想いから、25歳までに独立しようと思って、5年間いろいろな会社に勤めて経験を積みました」(加藤さん)
ホームページを作ることが趣味だったという加藤さん。好きなことを生かすべく、クラウドワークスで仕事を探し始めたそう。
「たくさんのデザイン関係の仕事に応募しました。ひたすら仕事をこなしていたおかげで 、始めてから2〜3カ月くらいたったときには、前職の給料以上に稼げるようになりました。クライアントからも『予想以上のクオリティで、びっくりしました』というお声をいただくように。そうした評価をひとつずつ積み重ねていった結果、次々と指名で仕事が来るようになりました」(同)
仕事をこなす中でスキルも向上し、さらに仕事が舞い込むという良い循環が生まれたそうだ。
「クラウドワーキングの仕事スタイルというのは、固定給だった頃の働き方とは違って、仕事をすればするほど稼げる仕組みだと思っています。仕事を重ねることでスキルが向上していきますし、飽きっぽい私にはすごく合っています。最近は休みたいときに休めるので、平日に習い事をするなど、自由に時間が使えるようになりました。私は28歳なのですが、同世代の方の中には、やりたいことがあるのに、なかなか時間が取れなくてできなかったとか、結婚・出産など人生を考えて不安を抱えている方もたくさんいらっしゃるはずです。クラウドソーシングが広がることによって、これまで一歩踏み出せなかった方も、気軽に前に進めるようになるかなと感じています」(同)
クラウドワーキングによって、単身で生活できるだけの給料を稼ぎ出すには、経験と実績が必要だ。さらにいえば、今回紹介した森脇さん、加藤さんともに優秀な社会人であることに変わりはない。しかし、努力なくして今の活躍ぶりはなかっただろう。先人たちが蓄積した経験談は、自分が目指す働き方、ひいては生き方のヒントになるはずだ。
(取材・文/末吉陽子)(撮影/林直幸)