酒井法子「負けず嫌い」発言のふてぶてしさ――ベッキーが見習うべき、不祥事タレントの在り方
羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな芸能人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。
<今回の芸能人>
「負けず嫌いなんです」酒井法子
(AFP通信インタビュー、3月16日)
ゲスの極み乙女。・川谷絵音との不倫騒動における過剰なベッキーバッシングは、海外メディアには“女性差別”と映っているらしい。イギリスの大手新聞ガーディアン紙が「ベッキーの没落は、女性差別」と報じたそうだが、私はそうは思わない。ベッキー叩きを誘引したのは、鼻につくほどいい子ぶっていたキャラが不倫という行為をしていたことと、主な収入源がイメージを尊ぶCMだったからだろう。同じことを不倫の常習犯とされる椎名林檎あたりがしたら、世間は「あんたも好きねぇ」程度の反応で済んだと思う。
フランスのAFP通信も、女性芸能人へのバッシングは、女性差別という見解を持っているようだ。同社がかつてベッキーと同じ事務所に所属し、覚せい剤取締法違反により逮捕バッシングされた“先輩”である酒井法子に「日本の社会は女性に厳しいのでは?」とインタビューしたところ、酒井は「女性に対してというか、何か失敗した人をとことんジャッジする」「一種の集団いじめのような(中略)孤立させ、その子が本当にボロボロになるまで」とコメントしていた。コメントそのものは正しいと思うが、酒井にそれを言う権利があるかというと、ちょっと疑問である。
ついうっかり不倫をしてしまったベッキーと、執行猶予が明けたとはいえ、警察のお世話になった酒井では“失敗”の深刻さが異なる。芸能人の薬物逮捕はそう珍しいことではないが、酒井の場合、シャブ抜き逃走(大量の下着と食料を買い込み、逃走。体内から覚せい剤を出すために温泉に入っていたらしい)が話題となった。覚せい剤反応が出なくなる頃、髪を切って、弁護士と共に警察に出頭した。覚せい剤を長期間使用することで、毛髪に覚せい剤反応が出ることを考えると、出頭直前のヘアカットは“証拠隠滅”と考えるのが妥当だろう。ワイドショーで法律関係のコメンテーターが、これらを「非常に悪質」と語っていたが、徹底的な証拠隠滅からは、ふてぶてしさすら感じられる。バッシングされても致し方ないだろう。
昨年の末、『白熱ライブ ビビット』(TBS系)の取材において、酒井は覚せい剤事件を振り返ったが、直接的な謝罪はせず、「みんなに悲しい思いをさせちゃった」と上から目線を感じさせる発言をしていた。「もう二度とあんなつらい思いはしたくない」とも付け加えていたが、罪を犯せば警察につかまるのは子どもでもわかる理屈で、つらかったと言われても、同情できない。本当の意味で、酒井は悔恨も反省もしていないように私には見える。