サイゾーウーマンカルチャー漫画レビュー漫画の新トレンドはトリオ女子!? カルチャー イイ子・悪い子・普通の子 ヒット漫画の新トレンドは「トリオ女子」!? 話題作に共通する女の友情の理想型とは? 2016/03/06 16:00 アラサー漫画レビュー ■程よい距離感のある関係性がアラサー女性に刺さる なぜ今、トリオ女子を描いた作品がこれほどヒットするのでしょうか。理由は2つ考えられます。1つ目は、3人組はキャラの個性が際立ちやすい構成だから。イイ子・悪い子・普通の子、あるいはキュート・パッション・クールのように、3人グループは個性や属性がかぶりにくい傾向にあります。 またお笑いの世界では、トリオは小ボケ・大ボケ・ツッコミ、ボケ・ツッコミ・進行役、全員がローテーションでボケるなど、役割分担が変幻自在で多様性があるのが強みといわれています。漫画においても会話がテンポ良く転がりやすく、ギャグシーンに特に向いているのです。今回紹介したトリオ女子作品がすべてギャグ漫画なのも道理といえるでしょう。 ヒットの秘密、2つ目は距離感です。女子2人の場合、その友情は時に閉鎖的、排他的になることがあります。もちろん『NANA』(集英社)のナナとハチ、『アラサーちゃん』(メディアファクトリー・扶桑社)のアラサーちゃんとゆるふわちゃんなど、女子2人の絆や愛憎を描いた傑作は数多くあります。が、その関係性は極めて濃密でウェット。麗しい反面ずっしりと重たく、ある種の緊張感をはらんだ関係になりかねないのです。 一方、トリオは特定の1人に依存しない関係です。うまく噛み合えば「三すくみ」のように相克関係が生まれ、パワーバランスが安定します。まさに『独身OLのすべて』第1話において、3人がいい笑顔で吐き捨てる「OLは適度な距離感と腹八分目の友情が大切だよね☆」を体現した関係性なのです。この適度なクールさ、程よい距離感が今のアラサー女性に刺さるのではないでしょうか。 腹を割って何でも話せる友達は欲しい、でも息苦しくて面倒な重い関係は嫌……。いろいろな経験を積んだ結果、男女や公私を問わずウェットな関係はもうおなかいっぱいになっているアラサー女子にとって、ドライだけれど信頼に足る女友達という存在は、イケメン彼氏よりもさらに貴重な一生の宝物のようなものなのかもしれません。そんな理想の友情をテンポの良いギャグに乗せて描き、アラサー女子の悩みを笑い飛ばしてくれるトリオ女子漫画。これからもヒット作の誕生に大いに期待が持てます。 (秋山久生) 前のページ12 最終更新:2016/03/06 16:00 Amazon 独身OLのすべて(1) (KCデラックス モーニング) ズッコケ三人組は熟年で完結 関連記事 『おこげのはなし』作者が語る、「女同士の珍妙な友情」「居場所がない女」の愛おしさ『東京タラレバ娘』はなぜ、結婚できない=「自己責任!」と女子を追い詰める?2015年まんが界事件簿――【東村アキコ『ヒモザイル』騒動】が象徴したヒエラルキー東村アキコ『ヒモザイル』休載! 関係者が語る、少女漫画家が炎上に弱い理由東村アキコ『ヒモザイル』が炎上! 主婦&バリキャリ女子を攻撃する“勝者”目線の偏り 次の記事 “エロスのアイコン”団地妻に見る女性像 >