サイゾーウーマンカルチャー女性誌レビュー「BAILA」世代襲う「褒める立場」の重圧 カルチャー [女性誌速攻レビュー]「BAILA」3月号 会社の後輩、年下の彼氏……「BAILA」世代のアラサー女子を襲う“褒める”立場の重圧 2016/03/13 16:00 女性誌速攻レビューBAILA ■漂うサードウェーブコーヒーの香り カバーガールをアンちゃん(こう書くと江口洋介が浮かんできます……)に奪われたものの、今一番「BAILA」誌面に登場していると思われる絵美里さんの着回し企画「新鮮気分の春先アウター着回し29days」を見ていきましょう。 今回の着回しワードローブは、「春先アウターが肝!」ということで、「ベーシックトレンチ」「春チェスター」「長めトレンチ」「レザージャケット」と4着のアウターを着回ししています。春と秋を合わせても2カ月着られるかどうかわからないような綿素材のアウターを3着持っているという時点で、そりゃあもう急いで着回すしかない!! というか、クリーニング代を考えると1回でも多く着て費用対効果を高めるべし。そんなこんなで、まだまだ寒い2月をペラペラコートで乗り切るために、「インナーダウン」「コーディガン重ね」「ニットオンニット」など涙ぐましい努力をしながら仕事に遊びに大忙しです。 今回の絵美里の設定は「カメラメーカーの営業、30歳」で、「学生の時から付き合っている年下の彼は建築家の卵」。なんだか「ブルータス」(マガジンハウス)とかに載っていそうなカップルです。内容は、絵美里に思いがけなく海外転勤の話が持ち上がり、それを彼氏に伝えたところ、「絵美里の好きにしなよ」というつれない返事&連絡が取れなくなるという状態に……。 最終的には「絵美里が外国に行っている間、俺も今年試験に受かるように頑張るから。お互い満足に成長出来たら一緒になろう」と彼氏に言ってもらえ大団円、というストーリーなんですが……。学生時代からつきあっている女が30歳過ぎたというのに、今まで1回も結婚の話すら出ていなかったなんて酷すぎる! しかも、その結婚も「お互い満足に成長出来たら」という条件付き。これはなんだかんだゴネられて結婚できないパターンな気がする。絵美里、逃げて!! それはさておき、こちらのストーリーもまた「承認欲求」がテーマの1つかもしれません。“年下”で、建築家の“卵”である学生時代からの彼……。連絡が取れなくなったことからもわかるように、彼は絵美里に引け目を感じているのではないでしょうか。「俺も今年試験に受かるように頑張る」「お互い満足に成長出来たら」という言葉からも、自分の頑張りを認めてほしいという気持ちがわかります。とはいえ、目標が「試験合格」止まりってどうなのよ? アラサーの女と付き合うならば、彼にせめて「結婚資金を稼いでくる」くらいの気概と目標がほしいところです! しかし、それ以上に承認欲求の塊だったのが、KAT‐TUN・亀梨和也さん。スペシャルインタビューでは、「“なんだコイツと思われたい”“気を引く存在でありたい”そう思う自分がどこかにいるのかもしれないね」「そういう人の心の引き付け方は亀梨家の家庭環境の中で無意識に学んだものかも」という記述が。4人兄弟の全員がスポーツをやっている家庭の中で、“休みの日は誰の部活の応援に両親が来てくれるのか”を励みに部活の練習を頑張っていたという亀梨さん。それが今の“気を引く存在でありたい”という思いのベースなのだと語っています。なんというかまってちゃん……しかしこれこそ、アイドルには必須の資質なのかもしれません。 ところで、今月の「BAILA」を読んで「私は最近褒められたのか?」と振り返り、悲しい気持ちになったのは筆者だけではないはず。褒められる人間になりたいと思っているのに、いつの間にか人を褒めなければいけない側になっていたアラサー世代の葛藤は、カバーガールに昇格できなかった絵美里に向かわずにはおれません。「もうそろそろ、絵美里以外の人間がやっている着回し企画が見たい」という本音は置いておいて、彼女がカバーモデルになれるその日まで応援し続けたいと思います。 (ルイーズ真梨子) 前のページ12 最終更新:2016/03/13 16:00 Amazon 『BAILA 2016年 03月号[雑誌] (バイラ)』 鍵っ子って言葉、20年ぶりくらいに見た!! 関連記事 「BAILA」が井森美幸召喚!! 例のダンスを“誇り”と語る彼女に、アラサーが学ぶべきこと「BAILA」、女性ファッション誌にあるまじき“地味すぎるクリスマス”特集の狙いとは?「BAILA」世代の心を揺さぶる90年代アイテムと、今も生きる「りぼん」の仕事と恋愛観アラサー向け「BAILA」に70万円のエルメスバッグ! 分不相応すぎる提案の意図とは?平成世代迎合を図った「BAILA」、「BUZZってる」のセンスに感じたアラサー雑誌の必死感 次の記事 「下品」と批判噴出のセクシー画像集 >