なぜか豪華出演陣

ドナルド・トランプの風刺映画、特殊メイクを施して演じているのは、あの大物俳優!

2016/02/22 19:25

 そこに、ドナルドが手に入れたがっているアトランティック・シティの『タージ・マハル・カジノリゾートホテル』所有者であるマーヴ・グリフィンが現れ、「ケツが便座にハマって12時間ほど動けなくなり、『トランプ自伝~』を読んだら、お前の偉大さがよくわかった。ホテルはお前に売ろう」と承諾。イヴァナがケーキを大きな持って来ると、ドナルドは、「おっ、大事なことを忘れていたな。楽しむことも大事だぞ!」と少年に言い聞かせ、ケーキのキャンドルを吹き消そうとする。

 その瞬間、地震のような揺れに襲われ、映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のドクが登場。「そのキャンドルを吹き消すな! 吹き消すと、お前はアメリカ大統領になってしまう! 私は2016年から止めに来たんだ! セントラル・パークに止めてあるデロリアンに一緒に乗ろう」と言うのだが、ドクの姿が徐々に透明になって消えてしまい、今度は16年から来たというドナルドが登場。大統領に当選したことを告げ、大統領しか手にすることができない核兵器発射コードを自慢げに見せびらかす。そして、「Twitterが始まったら、すぐに“ドナルド・トランプ”でアカウントを取れよ。そうしないと、“リアル・ドナルド・トランプ”とかいうアホなアカウントしか取れなくなっちまう」とアドバイス。現在のドナルドのアカウント名をネタにしたジョークを放った。

 16年から来たドナルドが帰った後、ドナルドは少年と一緒にキャンドルを吹き消すのだが、その瞬間、中身が少年と入れ替わってしまう。少年の体になったドナルドが、「こりゃ、おもしろいことになったぞ!」と大喜びするシーンで映画は終了し、キャストやスタッフのクレジットが流れる。

 クレジットもドナルドの名前ばかりが登場し、ケータリングなどを用意する“クラフト・サービス”の欄には「メキシコ人たち」、“スタントマン”の欄には泥沼離婚をした「イヴァナ」とするなど、最後の最後まで笑いの手を抜かない。そして、ドナルドが再び登場し、アップで「自分の欲しいものは、なんとしてでも手に入れろ」とアンチや批判する人たちに向かって中指を立てる。

 映画が終了すると、しかめっ面したロンが再び現れ、「ワォ! 最低だったな。映画製作への情熱を考え直させるような駄作だ」と言い、「この作品を、なかったことにしようか」「そうだ、ドナルド・トランプもいなかったことにしよう」と提案し、テープを焼いてしまう。最後に、「この映画に登場する人物は、実在する人物をモデルにしたものだが、コメディ用に仕上げている。アルフは違うパペットだし」と釈明文が現れ、映像は終了。


 このパロディ作品の企画は昨年夏に持ち上がったそうで、撮影期間はわずか4日。「Funny Or Die」運営者の一人、コメディ映画監督アダム・マッケイがジョニーに打診したところ、ジョニーは二つ返事で了承したという。大喜びした企画者は9日間で脚本を書き上げた。ジョニーのほかにも、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』のドク役で知られるクリストファー・ロイド、イギリス人俳優のアルフレッド・モリーナらが出演。また、映画『トップガン』の主題歌「デンジャー・ゾーン」でおなじみのケニー・ロギンスは、この映画のためにテーマソングを作詞作曲するなど、あまりにも豪華な面々が集まっているため、ドナルドの風刺映画なのに、逆にドナルド支持者を喜ばせる結果に。とはいえ、18日に「Funny Or Die」で配信されたジョニーは特殊メイクをビリビリと剥がし、カツラを取る映像では、最後に中指を立てて「ファック・ユー」と言っており、ドナルドを演じるのはしんどかった様子。

 ドナルドは、まだこの作品についてコメントしていないようだが、配信をしている動画サイトの編集長は「飛行機で移動する時間にでも観てくれるんじゃないかな」と期待を寄せている。野心家でナルシストでもあるドナルドのこと、ジョニーが自分を演じてくれることに不服はないだろうし、風刺映画も「クレイジー」といいつつも気に入ることだろう。耳に残るテーマソングも、キャンペーンで勝手に使うかもしれない。

 「メイク・マネー(カネ儲け)」の男が、「メイク・アメリカ・グレイト・アゲイン(またアメリカを偉大な国にしよう)」できる日は来るのだろうか。オバマ大統領は、「ドナルド・トランプは大統領にはならない」と断言しているが、日を追うごとにドナルドが大統領の座に近づいていると感じるアメリカ人は多いようだ。

最終更新:2016/02/22 19:28
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このころからもう髪型がおかしい……