なぜか豪華出演陣

ドナルド・トランプの風刺映画、特殊メイクを施して演じているのは、あの大物俳優!

2016/02/22 19:25

 2月20日の米共和党サウスカロライナ州予備選挙で圧勝し、大統領選の指名獲得にますます現実味が増してきたドナルド・トランプ。そんなドナルドの“風刺映画”を大手コメディサイトが配信しており、ネット上で大きな話題を集めている。

 話題になっている作品は、1時間弱のもの。実際に発売された『トランプ自伝 不動産王にビジネスを学ぶ』を実写映画化したものという設定で、大手コメディ動画サイト「Funny Or Die」が10日に配信を開始した。

 映像は、『ビューティフル・マインド』でアカデミー賞監督&作品賞を獲得した映画監督/プロデューサーのロン・ハワードが、作品紹介するシーンからスタート。淡々とした口調で、今回放送するのは、ドナルドが1987年に発売した自伝を基に、88年にテレビ映画として制作された「脚本、監督、主演、すべてがドナルド・トランプ」という貴重な作品だと説明。同年に放送される予定だったものの、高視聴率で知られるアメフトの生中継に放送枠を取られてしまい、大激怒したドナルドが「絶対に放送しない」と宣言し、お蔵入りに。そのビデオテープが、昨年夏にアリゾナ州フェニックスのガレージセールで売られているところを、ロンが偶然発見。「手に入れるためには、ジニーという女性と争わなければならなかったが……」と遠い目をしつつ、「なにはともあれ、今は私のもの。早速見てみましょう。初放送となります!」とビデオデッキにテープを入れる。

 「脚本、監督、主演、すべてがドナルド・トランプ」とはいうものの、実際にドナルドを演じているのは、なんと俳優のジョニー・デップ。特殊メイクで顔を太らせ、口調もドナルドそっくりのジョニーが、「10歳の誕生日に見た、タージ・マハルの前に立つ子どもの写真が私の人生を変えた。私はいつか必ずタージ・マハルを手に入れると誓った。30年後、私はインドなんかよりもマシな、ニュージャージーに建つカジノのタージ・マハルを手に入れることにした」と語るシーンから始まる。


 物語は、偶然ドナルドのオフィスに迷い込んだ少年に、ドナルドが自分がいかに偉業を成し遂げてきたかを自慢げに話す形で進行。少年が持ってきた『トランプ自伝~』を、「これは聖書の次に売れてる本なんだぞ。聖書は12人もかかって書いた本だけど、オレは1人で書いた」とドヤ顔で説明する。高慢で口の悪いドナルドは、この日、40歳の誕生日だったのだが、誰も祝ってくれる人はいない。「でも、忙しすぎて悲しむ暇なんてないね」と、今週どれだけの大物に電話したかを自慢。そして、「言葉だけでなく実行しろ」と、サクセスストーリーを語りだす。

 粘り強い交渉のポイントをズレた視点でコミカルに描きながらストーリーは進むのだが、途中でドナルドは少年の名前を聞き、ラテン系であることを知ると、少年役が突然アジア人少年へと変更される。メキシコからの移民反対を掲げているドナルドを皮肉るシーンなのだが、ジョニーの演技が絶妙だからか、悪意があるようには見えない。

 ドナルドと元妻イヴァナとの結婚式のシーンでは、日本でもおなじみの宇宙人・アルフが登場。日本では所ジョージが吹き替えをしていたことで人気を得たアルフも、口が悪いことで知られており、ドナルドの親友役としてぴったり。ちなみに、ドナルドの元妻イヴァナに対する扱いはひどく、典型的な男尊女卑に描かれている。

 その後、アジア人少年に「お前、韓国人か?」と聞き、少年が「日本人だよ」と答えると、「もうガキはいらん!」とドナルドが叫んだことで、今度は黒人少年へと変更。しかし、ドナルドが持っていた図面に「この建築クールだよね」と言ったことが気に入らず、ワンシーンで別の白人少年へとチェンジ。少年は、ドナルドから、「物事を大きく考えること」「信じるもののために戦うこと」「夢を追いかけること」「図々しくあること」「金持ちと結婚すること」「有能な弁護士を雇うこと」「寛容であること」などを学んだと美談っぽくまとめ出す。

トランプ自伝―不動産王にビジネスを学ぶ (ちくま文庫)