「路線図ナイト」イベントレポート

奥深すぎる“路線図ナイト”に潜入! マニアたちが明かす「3つの興奮ポイント」

2016/02/27 16:00

 日曜日のお台場……そこは爆買い目当てで目の色変えている外国人と、家族連れやらカップルやらでごった返すイベントスポットであります。先日、そんなお台場にある「東京カルチャーカルチャー」にて「路線図ナイト~路線図をながめて『いいねぇ~』って言うだけの飲み会」が開催されました。

 「ひたすら世界中の路線図を愛でるだけ」というこのイベント、 当日は超満員でございました。オープニングで主催者側は「ぶっちゃけ、人気があるだろうイベントは開場が1時間前、大して入らないだろうというイベントは30分前に開場するんです」と舞台裏を明かしていましたが、「路線図ナイト」の開場は30分前。「路線図、大して人気ないんじゃね?」という主催者側の読みは大いに外れたわけです。

 イベント出演者は、路線図好きライターの井上マサキ氏、レシピや物語を路線図にしているライターの西村まさゆき氏、旅と鉄道、韓国をテーマとするフォトライター・栗原景氏、そして司会者2名。筆者は正直、まったく電車には興味がないのですが、「路線図」の魅力は、わからないような、でももうちょっとでわかりそうなといったところ。ただ、路線図は身近なものだし、家の間取り図を見るのは好きなので、 「路線図もきっと楽しいだろう」 と期待を膨らませて参加しました。

 結論から言いますと、筆者はこのイベントで、大変な目に遭いました。路線図を愛するマニアたちが、次から次へと路線図の魅力を畳み掛けるんです。予想外にもそれが、筆者のような素人にもガンガン響きました! 今後、もはや冷静に電車に乗ることはできないでしょう。もう純粋に行き先を調べるためだけに路線図を眺めていた素直な私には戻れないかもしれません。ではなぜ、たった数時間で路線図に魅了されたのか、早速同イベントをレポートしていきましょう。

■ニューヨークの路線図を“問題児”扱い!?


 まず、路線図マニアがグッとくるポイントは「1.線の密集」「2.時空の歪み」「3.川と緑」だそう。「1.線の密集」は、パリやニューヨークなどの大都市の路線図に見られる特徴で、マニアたちは、これらを“アート”として見るんだとか。ドイツとかがものすごく密集してて興奮するらしいです。

 「2.時空の歪み」は、四角い限られたスペースの中に全ての駅名を入れるために工夫を凝らした結果、「この駅、ここの場所にはないよね?」などと時空のゆがみが発生する場合があり、それを見つけて楽しむんだそうです。

 このあたりからだんだんマニアっぽくなって参りましたが、「3.川と緑」はさらに奥深い。路線図によっては、川や緑が描かれているものもあるそう。それにより、「路線図自体はダイヤグラムになっているのに、川だけやたらリアルに描かれている」ことがあるそうです。路線そのものではなく、それ以外にも見どころがあるんですね。「どこまで路線図に描くか」はそれぞれ作者の思惑があり、路線図ごとに個性があるんですって。

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「路線図界の問題児」だというニューヨーク。全ての路線が右方向に流れ、ハドソン川の向こう側、路線図の左側には陸がないのかと思ってしまう。もちろんそんなこともなく、普通に大陸。州が違うからって地下鉄を1つもつなげないのはどうなのか?
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新宿駅は確かに多すぎだ! 友達は、都営新宿線の「新宿駅」と「新宿西口駅」が同じ駅だと思ってたぞ! しかも新宿駅がひょうたん形に描かれる謎
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都営浅草線の路線図。直通運転される京急線、京成線の路線が左右に広がるが、そのワシャワシャっぷりは、編みかけの組みひもかマフラーのよう。「全部描く必要があるのか?」とのこと

 これらの「グッとくる」ポイントを教わるだけでも、だいぶ路線図の見方が変わってきました。そ・れ・だ・け・な・ら・ば・ま・だ・い・い・が! 
 世の中には、鉄道会社が作っているのではない、「インディーズ」路線図というのもあり、それは「施設や店舗など、特定の目的のために作られた路線図」なのだとか。その特徴は「1.自己中心的」で「2.手作り感があること」。自己中心的で手作り感! それだけで、ツッコミポイントがてんこ盛りだということが予想されます。期待で胸が高鳴りますね!

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六本木ヒルズの路線図。上半分がガッポリ空白? 「スタッフに路線図マニアがいないことがよくわかる」とか
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ハウステンボスの路線図。5時間半もかかる名古屋から載せる必要があるの? そして表現上の問題だろうけれど、飛行機の鹿児島迂回っぷりがすごい

 インディーズものは、駅周辺や大型施設で見つけることができるのだそうで、いよいよ電車を降りた後も、思わず路線図に目が行ってしまいそうで、心安まらなくなってきました。また「電車でお越しの方」「電車をご利用の場合」で画像検索するといいのだとか。ネットにつながっているときまで路線図から離れられなくなるじゃないか! 


『2016年1月始まり壁掛カレンダー東京近郊路線図 CK‐103』