コラム
仁科友里の「女のためのテレビ深読み週報」

梅宮アンナが語る“ひとり”の意味――過去の恋愛沙汰、別居問題に見る“父娘の問題点”

2016/02/18 21:00

 “オトコを見る目のないオンナ”に加え、最近のアンナは新たに“育児放棄するオンナ”という称号を得つつある。娘とケンカが絶えず、“ひとり”の時間が必要なアンナのために、辰夫の提案で、アンナがマンションを借りて実家に通うスタイルを取ることにしたそうだ。辰夫夫妻が養育しているのであれば、育児放棄には当たらないだろうが、子どもを祖父母に預けて、自分は高級マンションの1LDKで“ひとり暮らし”というスタイルは、好感を集めるものではないだろう。

 アンナの発言を見ていると、“ひとり”という言葉が多いことに気づく。最近上梓した新刊のタイトルも『女は「ひとりの時間」に磨かれる』(KADOKAWA)だし、「日刊ゲンダイ」のインタビューにおいて、これまでの人生を振り返って「すべてひとりで考えて、ひとりで決めてきた」と述べている。その原因をアンナは「ひとりっ子だったから」と分析し、「(ひとりっ子である)娘も同じだ」と結論付けている。

 が、よく考えると、アンナは厳密な意味での“ひとり”ではない。問題のあるオトコと付き合うと決めたのは、確かに“ひとり”だったろうが、その結果破局すると、助けてくれる辰夫夫妻のところに戻っている。アメリカに“ひとり”で傷心旅行に出かけたのも本人の判断だろうが、それは辰夫夫妻が娘を預かってくれるという前提があって成り立ったはずである。つまり、アンナの“ひとり”の陰には、経済力があって、家事育児を厭わないサポーターである辰夫という存在は不可欠。アンナのいう“ひとり”は、家事や育児など面倒なことを負わないという“自由”とほぼ同義で、アンナと辰夫はふたり一緒で“ひとり”なのだ。

 アンナは、娘のことを自分と同じ“ひとり”タイプと思っているようだが、それは危険なのではないだろうか。娘もまた、同居する辰夫の養育を受けているという意味で、彼のサポートを受けている身だが、彼女は辰夫という便利な存在と一緒にいられる時間が短い(自然の摂理から言えば、辰夫が孫を守れる時間は、さほど長くない)。そう考えると、辰夫のサポートがなくなったとき最もダメージを受けるのは、娘の可能性があるのだ。

 アンナは再婚願望があることを公言しているが、『白熱ライブ ビビット』(TBS系)において、娘に「料理をまったくしない」と暴露されていた。辰夫はアンナの母・クラウディアに「笑顔でいてくれれば、何もしないでいい」とプロポーズし、実際に料理はずっと辰夫の担当だったため、アンナは「やってもらうのが当たり前」として育ったそうだが、男女ともに結婚にある程度の家事能力が必要なことは言うまでもない。辰夫が“全てやること”が結果的に、アンナの自立を妨げているのである。実家に子どもを預けることよりも、こちらの方がよほど深刻な問題に感じられるのだが……。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。最新刊は『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)。
ブログ「もさ子の女たるもの

最終更新:2016/02/18 21:00
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