カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「婦人公論」2月23日号

ただただ壮絶な手記が並ぶ「婦人公論」に見る、女の生への貪欲さと図太さ

2016/02/19 17:00

 当時“未婚の母”としてバッシングされ、“正しい人”たちからは眉をひそめられていた桐島の生き方。赤ん坊が「ミルクのかわりに本場の上等なシャンペンを人生最初の飲み物として船医さんの指からキュッと吸いとった」なんて、もし今言おうものなら即炎上間違いなしの案件です。尋常ならざるパッションとそれを表現する力のある者だから、こういう破天荒な子育てができるという見る向きもあるでしょう。

 しかしほかの作品にも共通することですが、女の生き抜こうとする力はすさまじい。宮崎氏が甘かったのは、育休をどこか「妻を助ける」ものであると捉えていたところ。戦火の中でも刑務所でも無一文の異国でも、主義主張をその都度ぐにゃぐにゃと曲げながら、この人たちは生きるのです。育休は妻のためでも子どものためでもなく、自分のためのもの。男性たちがそう考えるようになって初めて「育児休業」は絵に描いた餅ではなくなるのではないでしょうか。
(西澤千央)

最終更新:2016/03/03 03:18
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