ただただ壮絶な手記が並ぶ「婦人公論」に見る、女の生への貪欲さと図太さ
今号は、特集の前に瀬戸内寂聴先生の新連載からレビューを始めたいと思います。寂聴先生といえば、「婦人公論」(中央公論新社)三種の神器の1つ(その他は美輪明宏、氷川きよし)に数えられるお方。今号では「楽天老婆つれづれごと」と題して、「毎年、暮には天台寺で年越しをして大晦日には餅を搗き、鐘を突き、雪で尻餅をついていたのを思い出す」といった僧侶ギャグを交えながら、近況を報告。「この頃、何をしても、これがいつまで続くのかと思う癖がついてしまった」としんみりさせたかと思えば、「胆のう癌の手術をして、生まれて初めて全身麻酔の注射をしたが、あの気持ちのよかったこと!」と、おクスリにハマってしまった人がお騒がせしている今、ギリギリのネタをぶっこむなど、「婦人公論」をブログ代わりに使えるのも寂聴先生くらいなもの。
「背もまるくなり、衣服に隠れた裸体には信じられないところに皺が寄っている。何度確かめても、その皺のある身体が自分のものだとは信じられない」と語る先生。どれだけ年を取っても「女」から逃れることはできない、と先生は身をもって教えてくれているようです。
<トピックス>
◎連載 瀬戸内寂聴「わくわく日より」
◎特集 いま、暮らしを変えるキーワード100
◎名作&力作ノンフィクション特集 過酷な運命、それでも生き抜く
■「貫く」リスク
今号の特集は「いま、暮らしを変えるキーワード100」です。「これまで折にふれ、政治や社会の問題を取り上げてきた『婦人公論』。(中略)そこで、創刊100周年第3号では、いまこそ知っておきたいニュースに注目」ということで、インターネットから情報を得ることに慣れていない「婦人公論」読者たちに旬のニュースをダイジェストでお届け。
最初のページ「発表! 読者が気になる重大ニュース20」を見てみますと、第1位は「北朝鮮の水爆実験」。2位に「マイナンバー制度の導入」、3位「電力自由化」と社会問題が続き、4位にようやく「SMAP解散騒動」。しかし10位までに芸能ニュースはこれと、8位の「ベッキーの不倫騒動」だけ。「サウジアラビアとイランの断交」や「フランスで起きた同時多発テロ」が上位にランクインしていることからも、「婦人公論」読者の意識の高さが垣間見えます。