misonoを炎上タレントたらしめる、“壊滅的なセンスのなさ”を読み解く
misonoのズレた解釈は、引退騒動の顛末を説明する際も見受けられる。misonoは、「30歳以降はやるつもりはないんですと、ちゃんと会社に話していた」と引退が思い付きでないことを強調していたが、芸能界のように浮き沈みが激しい仕事の場合、重要なのはmisonoの意志よりも、実際にオファーが来るかどうかである(いくら、misonoにやる気があっても、オファーがなければ仕事にならず、事実上引退状態となる)。
そんな引退宣言やプロポーズ話など、炎上を招く発言が多いmisonoに、大久保は「勢いで言っちゃった?」と尋ねたが、misonoはそれを否定し、「話を盛ったり、その時の気分で言っちゃダメだと思う」と答えた。確かにmisonoは話を盛っていないし、その時の気分でも話していないだろう。が、話を早とちりしがちで、自分の勝手な理解で突っ走り、かつ“相手の気持ちを量る”センスが壊滅的に欠けているのである。無駄に長いブログもその1つで、読み手のことを考えたら、ああいう書き方をしないのではないだろうか。
ところで、年末になるとテレビでよく“片づけ企画”を目にする。風水師や片づけコンサルタントなど、各方面のエキスパートが片付け指南をするが、分野は違えど共通しているのが「部屋はあなた自身」という考え方である。部屋は、その持ち主の精神状態を表すという意味だそうだ。misonoは、『ロンドンハーツ』(テレビ朝日系)で部屋を公開したことがあるが、壁一面に隙間なく、色とりどりのぬいぐるみやフィギュアが、テトリスのようにびっしり敷き詰められ、落ち着く部屋とは言いがたかった。トイレにもmisonoグッズが所狭しと並び、部屋全部がぬいぐるみで占められた“人形部屋”まであった。モノの多さは、“汚部屋”を連想させるが、misonoの家は清潔であったことも印象的だ。「部屋はあなた自身」説に則れば、モノにあふれた“汚部屋”は「余計なものをため込んだ不健康な状態」と考えられるだろうが、清潔かつモノだらけの部屋が示すのは、「好きなものは全部手元に置きたい、過剰な自己愛」ではないだろうか。
大久保は、misonoについて「絶対引退しない」とコメントしていたが、私もそう思う。ここまで“自分と自分の気持ち最優先”な人間が生きられる場所は、芸能界しかないと思うからだ。10年後も「ウチ! ウチ!」と番組で叫ぶmisonoが、きっといる。
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。最新刊は『間違いだらけの婚活にサヨナラ!』(主婦と生活社)。
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