サイゾーウーマンカルチャー女性誌レビュー「VERY」ママの分析に見た読者の顔 カルチャー [女性誌速攻レビュー]「VERY」11月号 「女子」という言葉をさらりと使う――「VERY」ママの分析記事から見えた、読者たちの顔 2015/11/06 18:00 女性誌速攻レビューVERY 「VERY」2015年11月号(光文社) 今月の「VERY」(光文社)には、『紋切型社会――言葉で固まる現代を解きほぐす』(朝日出版社)で2015年のドゥマゴ賞を受賞した武田砂鉄さんの「VERY聖地ルポ」という異色のページが注目です。その文字数はなんと9,000文字。著書で、世にあふれる“決まり文句”から現代社を批評したライター・武田さんは、「VERY」と「VERY」読者、そして「VERY」の聖地をどう見るのでしょうか。 <トピック> ◎VERY聖地ルポ ◎冬のママには3つのコートが必要です! ◎子どもがいるとあきらめる服を、秋はあきらめない! ■客観視されたがる「VERY」読者の心理 武田さんがまず訪れた「VERY」の聖地は「二子玉川」でした。そこには、夏限定の遊び場「NATSU‐NIWA」という場所が開放されていて、子ども連れのママ友たちが、写真を撮ってはSNSにアップしていたとのこと。その姿を見て、武田さんは、「写真を確認し合うようにママ友たちが『いいね!』を押し続けているのだとしたら、こちらは『大変だね!』ボタンを押したくなるのだが、そんなボタンは存在しない」と辛口です。 ほかにも、蔦屋家電の2階にあるソファーに座る、いかにも「VERY」ママたちの口から、「やっぱり女子力なのかなあ」という言葉が出たことに対し、武田さんは、「VERYのママたちは、巷に流れる『女子』の乱用に嫌悪感を覚えているのではないかと思っていたが、『やっぱり女子力なのかなあ』との発言からテンションが数段階アップした」と語ります。その理由は、「VERY」の誌面での一人称は「ママ」なのに、読者は「女子」をさらりと使う。そこに、「VERY」の「重層性」があるのかもしれないと気づいたからのようです。 このように、武田さんによって、“紋切型”ではなく、ときには冷笑的にも感じられる分析が次々と繰り出されます。もちろん筆者は、「VERY」の読者ではあるけれど、「VERY」が想定する読者からはかけ離れているからこそ、この分析を面白く感じるのですが、実際の「VERY」読者はこれを読んでどう感じるのでしょうか。 勝手に読者の気持ちを想像すると、悪くないのではないかと思うのです。例えば、占い師に自分のことをズバリと当てられるのは、なぜか気持ちが良いもの。それが、悪いことであっても、「そうそう、私、実はそういうところがあるの」という妙なうれしさがあるのではないでしょうか。この武田さんの指摘にも、似たような効果があると感じます。 もちろん今までも、今回のような「VERY」読者の痛痒いところを指摘する読み物ページはありましたが、武田さんの登場で、「VERY」におけるそういった側面が確立されたような気がしました。 12次のページ Amazon 『VERY(ヴェリィ)2015年11月号[雑誌]』 関連記事 「体のラインが出る服は微妙」スーパーに行く際のファッションまで指南しだした「VERY」「女は顔、男は金」時代の終わりを感じさせる、「VERY」の似たもの夫婦たちとは?セックスレスの原因(?)だったママチャリ問題を、「VERY」がサクッと解決!「VERY」読者代表の1日に密着! 足場が崩れそうなギリギリの幸せを見た妻とのセックスは近親相姦!? 「VERY」の「イケダンの真実」が怖すぎる!