サイゾーウーマンカルチャー女性誌レビュースーパーママ礼賛記事より怖い「nina’s」 カルチャー [女性誌速攻レビュー]「nina’s」11月号 ビジネス誌のスーパーママ礼賛記事より読者に追い込む、「nina’s」の復職特集 2015/10/30 20:00 女性誌速攻レビューnina's 「nina’s」2015年11月号(祥伝社) 前号では「日本縦断!『ニナmama』SNAP2015」と題して、全国で街角スナップを行い、地方のオシャレ(にあこがれる)ママたちへ販路拡大を目論んでいる「nina’s」(祥伝社)。今号の特集は「おしゃれママが着ているUNIQLO・ZARA・GU」という毒にも薬にもならないデイリーブランド特集ですが、ここで暗躍しているのが、モデルでもタレントでもない、写真投稿アプリ「インスタグラム」とファッションコーディネートサービス「WEAR」などのSNSで名を馳せる有名アカウントママ……の子どもたちです。「有名おしゃれキッズが着るママ指名買い服」には、「WEARで18万フォロワー以上!」「WEAR、instagramでもフォロワー&ファン多数」「ママのWEARフォロワーは6万以上、ZOZOTOWNでモデルもこなす」など、ママ&キッズがUNIQLOをUNIQLOと思わせない上級者の着こなしを披露しています。 おしゃまにポージングする、「たま」のボーカル前髪の子どもと、それを操る全体的にダボダボした服にデカめのハットを被った魔術師風のママ。ネットの有名人たちは凡庸なデイリーブランド特集にエグ味を与えてくれます。「nina’s」はこれからますますこれら「有名おしゃれキッズ」とそのママにスポットライトを当てていくのでしょう。まずは子どもに「eightmaaan」とか「keemiiiii」とか母音高速連打するアカウント名をつけることから始めるべし。 <トピックス> ◎大特集 おしゃれママが着ているUNIQLO・ZARA・GU ◎今気になる! ウワサの親子SNAP! ◎産後復帰はいつにする? ママのお仕事復帰計画 ■GReeeeNの置き土産とも言うべきアカウント名 ブランドのデザイナー、プレス、美容師などいわゆるおしゃれ職業のママたちが「クリエイティブママ」としてもてはやされてきた「nina’s」。モデルやタレントより身近な存在ではあるものの、主婦からすればそこには一つ高い壁があったように思います。それが先述の「WEAR」や「インスタグラム」の出現により、セルフプロデュース次第で普通のママが“人気オシャレママ”に成り上がることが可能になりました。いつか私もインスタでフォロワーいっぱい集めたい……オシャレなライフスタイル見せつけたい……そんなウズウズした思いが昨今のカリスマインスタグラマーブームを支えているのです。 そんな思いを新たにしたのが、「今気になる! ウワサの親子SNAP!」。キャッチコピーには「人気のインスタママにも会ってきた」とあります。そうです。クリエイティブ職業ママを押しのけて、ページのトップを飾るのはSNSで話題のママたち。そしてやっぱりアカウント名は母音高速連打系。そんなオシャレSNSママたちがさらにオシャレSNSママを紹介するという、オシャレわらしべ長者的な内容になっています。推薦コメントも「おしゃれでいい写真を撮る方が好きで、フォローさせてもらいました!」「綺麗なママと撮られる写真のセンスも素敵でフォローさせてもらっている関西のママさんです!」……EXILE一族の“させていただく”にも通じる最高級の持ち上げっぷり。 しかしこのページを読んでいると、インスタ人気を集めるには写真やファッションがイケてるだけではなく、“家族との何気ない日常をいかに効果的に投稿するか”が重要なことがわかります。「○○くんの変顔やユニークなスポットでの写真など、クスっと笑える投稿でインスタを賑わせる」「○○ちゃんのファニーな成長にキュン」などなど。ママだけでなくパパも独自のアカウントを持ち、「“妻と娘”と題した父目線の愛と笑いに溢れた投稿にフォロワーが急増」と、全方位から日常生活をインターネットに披露しているご家族も。 多忙な子育て中に、笑えて泣けて心に沁みるオシャレな写真を撮りまくり、しかもそれをママ目線、パパ目線、子ども目線でお届けする。先ほど「いつか私もインスタでフォロワーいっぱい集めたい……オシャレなライフスタイル見せつけたい……」と書きましたが、一介の主婦が人気インスタママになるためには、身も心も家族までもネットに捧げなければならないのです。愚痴や悪口などマイナス要素無きこのインスタオシャレ界はさながらディズニーランドのよう。ミッキーマウスになりきれるか、それはあなたの覚悟次第。 12次のページ Amazon nina's(ニナーズ) 2015年 11 月号 [雑誌] 関連記事 「nina's」の人気インスタグラマー対談は、子どもをダシにしたセンスと自我のぶつけ合いAMOとサトエリの妊婦インタビューでわかった、思想とミーハーの交差点「nina’s」の醍醐味日用品は外国製なのに、七五三は伝統的に! 良妻賢母が愛国と結びつく「nina’s」ママ深刻な相談なのに、答えがポップすぎる「nina’s」の産後クライシス企画「nina's」の時短特集は、丁寧な暮らしをできる環境をアピールする場所