フリュー株式会社・稲垣涼子氏インタビュー【後編】

実物よりも“かわいい私”で構わない――プリクラがもたらした、女子の“自意識の変化”

2015/10/25 19:00
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2015年冬の新機種「KATY(ケイティ)」

■自撮り時代でもプリが支持される理由

 スマホの普及により自撮りが手軽にできるようになったことで、プリは廃れていくだろうと思われている面もあるが、稲垣さんによれば「まったく大丈夫。自撮りが好きな子ほどプリも大好きなんです」と自信を見せる。

「もちろんスマホのアプリでも加工はできますが、プリと比べて簡単ではないですし、撮影環境もスマホに付いているカメラを自分で持って撮影するのと、一眼レフで照明が整えられた中で撮影するのとでは、仕上がりのレベルがまったく違います。全身コーデも、鏡越しに自撮りするより、プリの方が撮りやすい。前述のように恥ずかしさなどの心理面においても、プリの方がハードルが低く、簡単に高品質の写真シールと画像データがその場で手に入る。その点がいまだに支持されているのではないかと思います」

 この冬に登場する新機種「KATY(ケイティ)」は、普段女の子たちが見慣れている“鏡に写った自分”がそのまま印刷されるよう、左右を反転させるという。女の子にとって、鏡を見ながら施したメイク、ヘアスタイルが自分の“一番イケている顔”。それをそのまま写真に残したい、そんな女の子の希望を叶えた。こうした女の子の願望への細やかな対応が、いまなお支持され続ける理由だろう。

「やっぱり、女の子が本当に喜ぶものをしっかりと作っていきたい。うわべだけではついてきてくれません。シェアトップを取っているからこそ、新しい提案も続けていくつもりです。いま、SNSで動画がはやっています。他社ですでに動画が撮れる機種も出ていますが、我が社では単に動画ブームなので動画が撮れるように、ということだけではなく、動画ブームの影響で女の子の要望はどう変わるか? ということを考えます。例えば、人気の動画の傾向から、プリも“おもしろさ”や“オリジナリティ”がまた重視されてくるのではないかと考え、そういった企画や機能も検討しています。今後、新しい試みによって、ユーザー層を拡大させることも目標。今は高校生~20歳くらいがメインユーザーなので、大学生や社会人に向けてのアピールも引き続き継続したい。証明写真が美しく撮れる“証明プリコース”も、裾野を広げる取り組みの1つです」


 20年、女の子たちの心をとらえて離さない背景には、技術の進化と作り手の女の子たちへの観察眼、そして強い企画・開発力などがある。プリ機は、これからも女の子たちの欲望とともに歩み、いつか大人たちの心も満たすツールになるかもしれない。
(構成/安楽由紀子)

最終更新:2015/10/25 19:00
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ババアになっても友達とプリ撮ってキャッキャ言いたい!