「年寄りらしく」という圧力ってなに?

昭和19年生まれ・古希の熟女AV女優に聞いた、高齢者の性欲と性風俗の現場

2015/09/13 17:00

――そうした女性はどういったきっかけで風俗業界に入るんでしょうか?

岩崎 ドラマのような借金まみれでやむなく風俗に、というケースは実際にはほとんどないですね。でも、携帯料金を払えなくなったとか、普通に生きていれば回避できるはずの危機にはまってしまうような人は結構多く、想像もつかないようなエピソードは多いですよ。

森 今、私はお店のスタッフの教育係もしているんですが、一度会社員もしているお店の子から電話がかかってきて、「今日お金をくれないと携帯が止まってしまう」って大騒ぎしてるんです。でも、携帯電話の料金を止まるか止まらないかのレベルまで滞納するなんて、普通ならないですよね。ましてや会社でも働いている人がですよ。「会社に言え!」って突っぱねました。

岩崎 そのような方は長くは続かないですね。熟女AV界においても、長く続く売れっ子は森さんのような考えがしっかりしていて、ちゃんと「生活してきた感」がある人です。自身で会社経営されてる方も結構多いんですよ。また、30半ばまでは性の業界にいなかった人が売れっ子になるケースは目立ちますね。若いうちから性の仕事をしていると、やはり悲壮感が出てしまいますので……。風俗臭っていうか。

森 この仕事は個人経営のようなものですから。私はもうお客さんの前では完全に別の人格ですね。完璧にサービスして、布団も畳んで、お客さんをお見送りしたあとは「ふうー」ってへとへとになっちゃう。疲れるけど、私は今が一番楽しいですね。
(石徹白未亜)


最終更新:2015/09/14 14:43
『熟年恋愛講座―高齢社会の性を考える (文春新書)』
高齢者の性を恐れるのはどうしてだろう?