「年寄りらしく」という圧力ってなに?

昭和19年生まれ・古希の熟女AV女優に聞いた、高齢者の性欲と性風俗の現場

2015/09/13 17:00
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■「本番1回わずか3,000円」高齢者の性業界の現在

――超高齢化社会の中で、性風俗店で働く高齢女性も増えているといいますが、実際はどうでしょうか?

岩崎陽一氏(所属事務所オーナー、以下岩崎) 昔はこの性風俗業界も景気がよかったんですが、今は稼げる人とそうでない人の二分化が著しいですね。森さんのように固定客がついてしっかり稼げている人もいれば、500円で待機部屋や漫画喫茶で(お客さんがつくまで)待機している人まで、さまざまです。

――森さんのようにしっかりと稼げる人と稼げない人の違いは、どこにあるのでしょうか?

森 まず、お店を転々としないことですね。もちろん、新人好きのお客さんはいらっしゃるから「新人です」と入れば最初の1カ月はちやほやされますが、そこで「次もまたお願い」とならず、続かなくなってまたお店を変える……、というケースをたくさん見てきました。働きたいという女性が増えても、40~50歳を超えた女性が勤められるお店の数は変わってないので、転々とするにも限りがあります。あと、ルールを守ることも大切です。お店を介して知り合ったお客さんを、次からはお店を抜きにして直接サービスしてお金をもらう、という中抜きを私は絶対しません。決定的な証拠が押さえられないからそのまま泳がされている人も多いですけれど、やはりズルをしている気配は伝わるものですから。結局は人間性なんですよね。


岩崎 お店を転々とする人はお客さんがつかないので、それならコンビニで働いた方が稼ぎ的にはいいはずなんです。無許可店では、本番1回でわずか3,000円という仕事すらあると聞きます。性の仕事はラクに稼げると思って軽く見ている志望者がいるのも現実ですね。AV女優の面接なのに、白髪だらけの髪の毛、スウェット、ノーメークでくるような人もいます。女性を捨てている方が多くいます。

森 そういう人を雇うような店もあるんです。一度、見た目もたたずまいもまあ、化け物みたいな女の人が会社に入っていくのが見えて、なんであんな人を雇うのって社長に聞いたら、「ああいうのもいた方がいい」って。そんな理由で雇われて、5時間待機して1,000円、みたいな労働条件で働いているんです。

『熟年恋愛講座―高齢社会の性を考える (文春新書)』