また一人、トンデモ候補者が登場か?

米大統領選でヒラリーやドナルドを脅かす、謎の候補者「ディーズ・ナッツ」の正体って?

2015/08/24 19:05

 しかし、猫好きの多くのアメリカ人がリンバーバットを歓迎。代理人である17歳の青年のユーモアセンスも素晴らしく、「諸外国のリーダーたちの足にすりすりする外交をします。ヒラリー・クリントンはまだやっていない有効/友好的な手法です」「ドナルド・トランプ氏に対するコメントは“シャーッ!”です。猫の方が常識があると主張しています」「スローガンは、(「今がその時!」という意味の「タイム・イズ・ナウ」ならぬ)タイム・イズ・ミャーオ、です」「公約は、みんなに昼寝を! です」というウィットに富んだ発言に支持者が集まるように。「リンバーバット2016」という公式Facebookには1万を超えるフォロワーがつき、バッジやTシャツなどのおもしろグッズも作られるなど、大いに盛り上がっている。

 「キンタマ」という名前で立候補申請した青年の方は、かなり真剣に大人を皮肉ってやろうと決意し、ノースカロライナ州の世論調査会社「PPP」にメールを送り、「大統領選挙に立候補したキンタマと申します。世論調査に名前を加えてもらえるでしょうか」と依頼。たくさんの人の興味を引くだろうともくろんだ「PPP」は「ドナルド、ヒラリー、ディーズ・ナッツ」の中から投票する人を選ぶという世論調査を開始。数週間前にミネソタ州で7%、アイオワ州で8%と順調に支持率を伸ばし、とうとうノースカロライナ州で9%という支持を得るまでになり、ネット上で大注目を集めるように。メディアもこの世論調査の結果を伝え、ニュース番組のアンカーたちが大真面目な顔で、「キンタマ」「キンタマ」と口にする事態に発展。全米をニヤつかせるようになったのだ。

 自由の国・アメリカでは、誰もが簡単に大統領選挙に立候補申請できる。リンバーバットもディーズ・ナッツのように、FECのサイトで必要事項を入力すれば申請できるのである。とはいえ、大統領選挙に立候補できるのは、35歳以上、アメリカで生まれたアメリカ市民といった条件があり、リンバーバットもディーズ・ナッツも条件はクリアしていないため、実際の選挙戦に絡むことは不可能である。

 しかしながら、「PPP」は、「ディーズ・ナッツのおかげで民主党、共和党以外の候補者にも可能性はあるということが証明された。そういう点で、意味のある世論調査だと思う」と胸を張っており、今後もしばらく、「ドナルド、ヒラリー、ディーズ・ナッツ」から選ぶ世論調査を行うことを示唆している。格安航空会社の「フロンティア航空」が「サイトで“ディーズ・ナッツ”とキャンペーンコードを入力すると、次回のチケット代を半額にします」というキャンペーンを開始するなど、「ディーズ・ナッツ」をネタにする企業が現れ、一目置かれる存在になりつつある。

 「しなやかなケツの猫」に続き、「キンタマ」が立候補申請した米大統領選挙。1968年には体重66kgの「豚のピガスス(ピッグとペガサスを合わせた名前)」が、08年には「犬のモーリー」が大統領選挙に立候補申請するなど、これまでにも“不可思議な”候補者はいたが、今回はかなりレベルが高いと全米を喜ばせている。


最終更新:2015/08/24 19:06
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ドナルドがヒラリーに勝っているというのが、衝撃過ぎて……