「お前より私のほうが繊細だぞ!」×「ジェーン・スー 相談は踊る」刊行記念対談

光浦靖子×ジェーン・スーが悩める女子に喝! 「“マウンティング女子”なんてただの消費文化」

2015/07/08 19:00
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光浦靖子氏

■悩んだら、女友達に話すことが一番

――お悩み相談を、人に近づく手段として使う人もいますよね。

光浦 私は、お悩みを手段として使ったことはないな。

スー まあ、そういう人はいるでしょうけどね。

光浦 そういえば以前、若いタレントが「私友達がいないんです、お友達になってくださいって」って言ってきたことがあったんです。「この子、頑張ってるのにひとりぼっちだなんてかわいそう」と思って、電話番号を教えて、ご飯に連れていって、優しくしていたんですよ。そしたらその子、周りの人にそれぞれ同じようなことを言って近づいていたんです。びっくりしましたね。


スー 優しいですね。本当に人付き合いが苦手なタイプなのか、「友達がいないの」と近寄っていって人を利用するタイプなのかの見極めは難しいけど、その子の“友達扉”に誰も入っていかないのか、みんな一度は入るんだけどすぐ出ていっているのか、よく観察しないと、と思います。

光浦 本当に「助けてほしい」と頼ってきて相談してくる子もたくさんいる中、悪用しようという子は、頭からうっすら黒い粒子が出ているのが見えるようになりました。

スー 私はTBSの女子アナの何人かと親しくしていますが、相手にしてみれば、私は年齢的に頼れる世代。だから相談しやすいというのもあるでしょうし、彼女たちにしてみれば、私に相談を打ち明けても、裏で彼女たちの評判を落とすような画策はしないと思ってくれてるんでしょう。良くも悪くも、同じ土俵にいない相手だからこそ話せることってあるじゃないですか。もし私が若かったりキレイだったり前に出ようとするタイプなら、私に相談はしないと思いますよ。

――悩みを相談して弱みを見せると、出し抜かれてしまうのではないかという不安はありませんか? 「マウンティング女子」という言葉がはやっているように、特に芸能界のような競争が激しい世界では、仲間はライバルでもありますよね。

光浦 ……悪いけど、手の内を見せて負ける程度なら、とっくに負けてますよ。


スー 光浦さん、かっこいいですね。「マウンティング女子」って言葉、女同士のけんかを男が見て楽しむ消費文化の側面がチラつくんですよね。嫌な女は確かにいるし、マウンティング自体がないとは言いません。そういう人はいる。ただ、そんな言葉に当事者の女が乗っかって、今の女のメイントピックのように語るのはおかしい。実際の女はもっと複雑でしょう?「マウンティング」はおもしろネタの1つとして、笑って楽しめばいいと思いますよ。

光浦 私の住んでいる世界には、そもそも「マウンティング」なんてありません。私自身、他人を落とそうという発想がまったくない。

スー 私たち、意外といい人ですよ。言動が“シニカル”に見えるからって、人を信用していないとか、人をいやらしい目で見ているというわけじゃないんですよ。

光浦 そう。そんなに人のこと嫌いじゃないし、人のことばかにしてないし、信用しているし。

『お前より私のほうが繊細だぞ! (幻冬舎文庫)』