カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「nina’s」7月号

圧力鍋やレイコップに罪悪感……「nina’s」の頑張らない子育てがしんどい

2015/06/25 18:00

 1人目を出産後、産後うつにかかったと話す木下。「今思えば、気楽にやろうって思っていたはずなのに、どこかで理想の育児ができない自分、理想の母親からはほど遠い自分にいらだって追い込んでしまったのかなって」。それを経験してからは「もう頑張らないって言えるようになりました(笑)」とのこと。

 ほかのオシャレママたちも「ひとり目のときは、今思えば頑張りすぎていたかもしれません。無理もあったし、“母親たるもの”という気負いがあったと思います。(中略)どう考えても、私ひとりじゃ全然手がまわらないんです。だから、主人や近くに住んでる両親に頼ることもずっと増えました」(モデル)と話すなど、この企画を包みこむのは、育児の大変さを痛感し「頑張らない育児」に切り替えたというストーリー。子育て雑誌においては「あるある」な展開ですが、実は「nina’s」ではあまり語られてこなかった部分なのです。子どもはかわいい、子育てはクリエイティブ、オシャレがあればなんでもできるとばかりに、“オシャレ根性論”がまかり通ってきたのが「nina’s」。しかし、余裕に見られるあのママもこのママも、実は余裕なき時代を乗り越えてきたんだよ……そんなストーリーこそクリエイティブな子育ての醍醐味とばかりに、“オシャレ根性論”が“オシャレ情熱大陸”へと進化してます。

 一方で「私生活では、主人に頼ったり、自分に少し甘くしてしまうこともあります。人間ってどこか不完全だし完璧にできるわけではないから」(デザイナー)と言い訳しなければ気楽に子育てできないほど、「nina’s」のママたちは“子育てにおける母親の重要性”というプレッシャーを無自覚に苦しんでいるとも言えるのですが……。

■「母力」ではなく、「父力」軽視が問題なのでは?

 特集内には「私が頑張っていること、力を抜いていること」というページもあり、さまざまなママたちがコメントを寄せています。しかしその「力を抜いていること」が、全然力を抜いていないという悲しい現実。「圧力鍋で調理時間短縮」「布団干し→レイコップ」「休日のお風呂~お遊びは旦那が担当」「ワンプレートごはんで洗い物減!」……ちゃんとやってるじゃないですか! 圧力鍋もレイコップもワンプレートも手抜きの部類には入らん! 休日くらい風呂入れろや旦那!

 「nina’s」ママたちの“頑張らないを頑張る”にクラクラきたところで、こんなページも見つけてしまいました。普段はあまりレビューで紹介することはない、連載「私たちにできること」。子育て関連のイベントや事業、運動などを行っている方々が毎回登場し、その熱い思いを語るページです。

 今回は『お母さん業界新聞』を発行している株式会社トランタンネットワーク新聞社の藤本裕子氏のインタビュー。『お母さん業界新聞』では、「お母さん大学」の学生(普通のお母さんとのこと)や「MJ」(マザージャーナリスト)と呼ばれるお母さん記者が実名で日々の育児への思いをつづっているそう。お母さんがお母さんのための記事を書く。その理由を藤本氏は「それこそが『母力』を上げるために一番大切な情報だと私は考えています」と語っています。

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