サイゾーウーマンカルチャー女性誌レビュー「ar」が男目線を入れて、没個性 カルチャー [女性誌速攻レビュー]「ar」3月号 「男はみんな浮気する」「男はいつまでも怒られたい」、男目線を持ち出した「ar」の恋愛特集 2015/03/08 16:00 女性誌速攻レビューar ■男が読んでも怒りそうな男性論を展開 モデルの鈴木えみが、恋愛をテーマに対談しています。対談相手はお笑いのパンサー(3人のうちの2人)、および女性スタイリスト(既婚)という中途半端な2組。鈴木えみは既婚者で子持ち。どこに焦点を当てた「恋愛対談」なのかサッパリわかりません。「既婚者は恋愛を語るな」とは言いませんが、「(男性に浮気をされた)経験がないからなぁ…(笑)」「私が男の人に対して謎なのは、どうしてソファですぐ寝ちゃうの?」「子供が大きくなったらいろんなところ行きたいね、とか将来の楽しみが増えた」と、鈴木の語る言葉には切実感がまったくない上、リア充自慢がちょいちょい入っているので、本気で恋愛に悩んでいる読者が読んだら腹が立ちそう。 さらに、「何でバレるのに浮気するんですか?」という鈴木の質問に対して、パンサー尾形貴弘は「それは~…もう『あなたはどうして雄なんですか?』って聞いてるようなもんですよ」「男はみんなそうですよ!」と返答。「どうしてソファで寝ちゃうの?」という質問には、パンサー向井慧が「男って子供なんで、どこでも寝られちゃうんですよね」「いつまでも母親に怒られると『わかってるってー!』って言いたくなるのをひきずってる生き物なんですよ、男って。だから優しくしてもらいたいんです」と返答。男=浮気する生き物、男=母親に優しくしてもらいたい生き物という、カビが生えたような男性論を悪びれもせずに堂々と語っていました。Twitterなら間違いなく炎上発言です。しかも、それを聞いた鈴木は「なるほど~!」で終わり。 ただ、これはパンサーが悪いのではなく、男性芸人に聞けばこういう展開になるのは予想できたはずなのに、男視点の恋愛論に何も切り込めない鈴木と対談させたキャスティングミスだと思います。「ar」が単なる能天気雑誌から路線を変えるつもりであれば、冒頭で紹介した石原さとみコーナーのように、女の子があこがれるかわいい女性が女視点で答える形にしたほうが「ar」に向いているのではないでしょうか。“女の子同士でキャッキャしながら『この服かわいい~』という延長線上で、『実は悩んでるんだよね……』と相談する”という距離感。重すぎず、しかし右から左に流れないレベルの答えが「ar」にはちょうどいいのかもしれません。 ■チーク塗りたくり“ほてりメイク”はもう古い? 今月号はメイクにも変化がありました。毎号、「血色メイク」「ほてりメイク」と称して酔っぱらいのように赤くチークを塗りたくっていた「ar」から、「ほてり」が消えたのです。「デート顔WINNER!!!」でも、「血色」は健在でしたが、「血色メイクは男子の大好物だけれど、赤の発色がパッキリしすぎるとスキがなくなるので×。赤よりもマイルドなチェリーピンクのネイルや、全体に塗り込まずにチョンチョンと色をつける控えめリップで愛らしさをキープして」とのことで、顔の血色はリップで表現する方向に転換したようです。 「彩未メイクアップ30days」という企画では、30日分のメイク方法が紹介されているのですが、チークの塗り方は「横長に薄く」「頬骨沿いにシャープに」「薄く」「頬骨に沿ってサッと」「ほんのり血色を足す程度に控えて」「薄~く」「なじみ色で引き算」と、どれも薄く・控えめが基本。30通りの中で唯一1つだけ、「赤チークで、湯上がりっぽいセクシーな上気肌へ」という従来のメイク法がありました。「ほてり」「能天気」から脱却しようとしている「ar」、どこを狙っているのでしょうか。 (亀井百合子) 前のページ12 最終更新:2015/11/26 23:58 Amazon ar(アール) 2015年 03 月号 [雑誌] 炎上しないゆえの無責任さが目立つ雑誌発言 関連記事 ド根性美容、尽くすダッチワイフ論、自己満足のバレンタイン……「ar」のモテ思考がツライ酔っ払いメイクを推す「ar」の“かわいいのひとりよがり”感感情を解き放って「自分が満足状態にあること」=モテだと促す、「ar」の残酷さ“雌ガール”と“おフェロ”推し「ar」は、女が女を愛でるための雑誌3日間洗わないオイリーヘアを目指せ? 「ar」が得意のヘア企画で無茶難題を提案 次の記事 相続で百首詠んだ人物に直撃 >