「男はみんな浮気する」「男はいつまでも怒られたい」、男目線を持ち出した「ar」の恋愛特集
「ar」(主婦と生活社)3月号のテーマは「愛あるオンナ一直線」。1冊まるごと恋愛特集です。表紙&グラビアを飾る石原さとみも、恋愛相談に答えています。これが意外にも読者と同じ目線で、理論ではなくリアルな恋愛経験に基づいた的確な答えで、石原の恋愛強者感もよく表れていました。たとえば、優柔不断な彼に結婚を詰め寄っていいかどうか、「自分が結婚したいって思ってるんだったら、ハッキリと言っていいと思う」とした上で、「面白くカジュアルに。重くなりすぎないのが大事」と回答。元カレと再会したら「客観視して、ひとつのドラマのようにとらえる」「思い切って、オープンリアクションして、ちゃんとその場を楽しむ」など。“恋愛カウンセラー”みたいな肩書きの人にきれいごとを言われるより、ずっと実践的かもしれません。
<トピック>
◎部屋も身体も、心もお片づけ!!
◎鈴木えみの恋愛対談
◎森絵梨佳デート顔WINNER!!!
■12月号では「どんな環境でも楽しめる女性」を推してましたが……
まず、「部屋も身体も、心もお片づけ!!」という企画を見てみましょう。部屋の整理と精神面の整理をリンクさせる“断捨離”の理論を踏襲したよくある企画ではありますが、「ar」で「住職」「精神科医」という“専門家”を登場させ、心理面や人間関係にここまで迫るのは珍しいことです。これまでは、モデルやヘアメイク、あるいは読者代表が薄っぺらい精神論を語り散らかすだけでしたから……。内容を見てみますと、
・「『常に楽しくないといけない』という発想を捨てる」……人の心は流動していて、楽しい時もあれば、そうじゃない時もあるので、無理に楽しそうに振る舞う必要はありません。(住職・小池龍之介)
・「相手が言葉で伝えないことは、存在しないと考える」……相手がどう思っているかわからなくても、気にしない。いつも気を利かせていると、相手もそれに甘えて、「なんでわかってくれないの」と、急なすれ違いを生むことも。(精神科医・水島広子)
・「『付き合いの悪い変わり者』になってみる」……飲みなどのお付き合いがどうしても苦手なら「私オタクなんで、アニメ観るために帰ります」などユニークな方向で“付き合い悪いキャラ”になって。(水島)
など、これまで「ar」が提唱してきた「いつもニコニコ笑顔がいちばん!」「他人を思いやって!」「みんなに囲まれている子が素敵!」といったポジティブ精神論とは真逆を行くものとなっていました。読者のリアルな悩みに寄り添っているといえば確かにそうなのですが、果たしてこれがいいことなのかどうか少々疑問に感じます。「ar」=能天気&軽薄、でもありましたからね。今月号でこうして妙なリアル感を出したせいで、逆に「よくある女性誌」になってしまった気もします。「ar」らしさとはなにか。雑誌の立ち位置が揺らいだように感じられました。