カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「nina’s」3月号

冷えとり、マクロビ、ツボ押し……「nina’s」のトンデモナチュラルな“2人目妊活”

2015/03/04 20:30

 出産から10カ月しかたっていないにもかかわらず、育児理念&育児計画は完璧。優木の言う「周囲に流され過ぎず、大変・ツライをなるべく見せないママでありたいですね」は、「nina’s」がずっと読者に与え続けている圧力。“子育てってクリエイティブ”“ママって素敵な仕事”を的確な言葉で伝える、新たな伝道師がここに誕生した模様です。

■ナチュラル信仰の温床となる“妊活”

 続いては、「そろそろ本気で2人目妊活」。子育ての本音や夫婦生活の悩み、嫁姑の愚痴など生々しい話はほとんど掲載されない「nina’s」。以前、産後クライシス(らしきもの)が特集されたときも、なんともゆるふわな内容で思わず膝カックンでしたが、さて今回はどうでしょうか。

 扉に登場するのはタレントの矢沢心。3年超の不妊治療を経て、2012年に第一子出産。「不妊治療を始めた頃、私は子どもが出来ない原因ばかりを探していました。(中略)でも、後ろ向きに生きていてもダメだと思い立ち、主人と2人の時間を楽しみ、自分磨きにも力を入れました」。それが功を奏したのか、第二子は「すんなりと、我が家にやってきてくれました」。そんな矢沢がオススメする妊活グッズは、自身がプロデュースしたヒップアップシェイプガードル、冷えとり4足重ね履きソックス、坂本龍一のオルゴールCDなど……。

 次ページからはもっと具体的に、妊活ライフをレクチャー。しかし「2人目妊活で知っておくべきことって?」に登場する「専門家」は、医師ではなく治療院の代表。「東洋医学で『未病』と呼ばれる、病気ではないけれどなんとなく感じる不調を鍼灸やアロママッサージなどで治療することで、身心の巡りを整え、自律神経に働きかけます」というこの方が提唱するのは、「子宮と卵巣への血流をよくする」ツボ押しや股関節まわし、また“血虚タイプ”“気滞タイプ”“痰湿タイプ”など「体質」を理解し、自分に合ったケア方法を知るという方法。

 さらに「スーパーフードマイスター」として山田まりやが登場し「食生活を見直すと、身体の中がキレイになり、自然と腸が整ってきます」「お味噌は2年以上熟成されたものを使い、とくにお米は必ず玄米を摂るようにし、24時間お水に浸して毒素を抜いてから炊き上げていただいています」と、うっとり自身の食生活を語っておりますが、それ2人目妊活と関係ありますのん……? それとも“信じる者は救われる”ということなのでしょうか。

 最後のページには「2人目妊活ママ座談会」があります。ここでの「実際にどんな妊活した? してる?」を読んでビックリ。「実践したことは、よく寝て、よく動いて、身体を温めるってことかな」「からだを温めるっていう基本的なこと(中略)チューブの生姜をいつもカバンに入れて持ち歩いて」「とにかく着込んで、肩甲骨の間と腰椎のあたりにカイロも貼ってるよ」「考えすぎると脳に血が行っちゃって、からだが冷えるらしい(笑)」などなど、座談会はほぼ冷えとり談義。「リンパの先生に診察してもらったら、子宮が冷えてるって言われちゃって」という一言に、冷えとり問題の深い闇を見ました。藁にもすがる思いの妊活。「2人目妊娠に必要なこと」という項目に書いてあった「妊娠の正しい知識を得る」という言葉が今、ブーメランのように効いてきました。
(西澤千央)

最終更新:2015/03/04 20:31
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