コラム
仁科友里の「女のためのテレビ深読み隔週報」

大渕愛子と西川史子――高収入女性タレントの再婚・離婚模様に見る“母との距離感”

2015/01/04 17:30

 大渕は今夏にバツイチ俳優の金山一彦と再婚した。苦手な家事は全て金山が担当し、大渕が家賃や光熱費など多くの経費を負担するパターンの結婚である。家事を嫌がらずにこなす金山を「この優しさは最初だけ?」と疑っていた大渕だが、安定した日々が続いているようである。唯一の悩みと言えば、金山が「母親化」してきたことで(夕飯の前にお菓子を食べるな、部屋の電気をつけっぱなしにするな、など大渕に注意をする)、それでストレスがたまらないのかスタッフに訊ねられ、冒頭のように「(金山には)反論できない」と答えた。仕事(家のこと)を全部きちんとやってくれているので、腹が立たないのだそうだ。ギブ&テイクがうまく成り立っている関係といえるだろう。

 西川は別番組において、このような大渕の再婚を「相手は羨ましくないけど、再婚は羨ましい」「財布が別の夫婦は離婚する」と評した。西川や大渕のような国家資格保持者は、並みの男性より高収入であり、家族を養うことは難しくない。しかし、西川にとっては、離婚を経験した今でも、結婚とは「羨ましがられる」経歴の人に「食べさせてもらうこと」であるらしい。自分が苦手なことを変わりにやってくれるのであれば、稼ぎ手となってもかまわないと合理的に考える大渕に対し、西川の昭和的価値観は、はっきり言って「思い込み」であり、その背後に昭和の勝ち組であった西川母の刷り込みを感じてしまうのだ。

 離婚の際、西川は自分が育った家庭が、家族全員で夕食を囲むのが当たり前だったので、自分もそうしたかった、そのために自分は20時以降の仕事は入れなかった(のに、夫は帰って来なかった)と婉曲に夫を責めたが、自分の家庭でしていた習慣を、勝手に新家庭に持ち込んでキレられても、夫が気の毒というものである。もし夫が実家の習慣を持ちこんだら、妻はマザコンと夫を責めて大騒ぎするケースも多いのに。

 結婚とは、育ってきた家庭を「捨てる」ことである。であるから、実家との関係が深すぎると捨てることができず、結婚もしにくくなる。大人になったら、家族とは、少し仲が悪いくらいでちょうどいい。婚活がうまくいかない女性は、一度母親との「距離」を見直してみてもよいのではないだろうか。

仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。
ブログ「もさ子の女たるもの

最終更新:2015/02/10 17:25
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