仁科友里の「女のためのテレビ深読み隔週報」

小保方晴子と壇蜜が教えてくれる、女の「無知と無欲」の使い用

2014/04/24 17:00
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『エロスのお作法』(大和書房)

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな芸能人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。

「ホテルで会って、ホテルで別れる」壇蜜
『櫻井有吉アブナイ夜会』(TBS系)4月17日放送

 女の無知と無欲は、罪でない。

 STAP細胞捏造疑惑に関する、理化学研究所・小保方晴子氏の会見と、それにまつわる有識者のコメントを見て、しみじみ感じた。科学者は、自説が正しいことをデータでもって証明するが、小保方氏の論文内のデータは、他論文からの流用だった。

 この「不正」を、小保方氏は「未熟だった」「不勉強だった」「これまで自己流でやってきた」と無知だったことを主張。功名心から意図的に改ざんしたわけではない、無欲な行動だと謝罪したのである。博士号を持ち、理化学研究所という日本最高峰の研究機関のユニットリーダーともあろう人が、そんなミスをするんだと驚いたが、男性にはそこは問題でないらしい。


 小保方氏を擁護する男性は、研究者としての小保方氏よりも彼女の外見や態度を評価していることが多い。漫画家の杉作J太郎氏は、「女性セブン」(小学館)の取材に対して、
「(小保方氏が会見で)牙をむいて、鬼ばばあになったりしなかったので、本当によく頑張ったと思います。(中略)彼女は男性が理想とする絶滅危惧種のような存在。頭が良くてリケジョで、でも、か弱さもかわいらしさも持っている」と答え、アイドル評論家の中森明夫氏は、「週刊ポスト」(小学館)において、小保方氏を叩く女性たちは「美人に嫉妬している」と分析した。

 両氏の意見を総合すると、ヒステリーを起こしたり、上司や組織を責めたりしないのが、「かわいい女」であって、そんな「かわいい女」ならば、多少の不正は許してやろうよ、だってわざとじゃないんだし、しかも外見も「かわいい」が故に女に嫉妬されて大変だから……ということらしい。不正の有無よりも、外見や態度が男にとってかわいいかで応援する、しないが決まるのだ。つまり、女性にとって無知と無欲は恥でも罪でもなく、うまく使えば女の武器になり、しかも外見がよければ最強ということではないだろうか。

 その武器を、芸能界において巧みに使っていると思われるのが、壇蜜だ。29歳という年齢でのグラビアデビュー後、映画、CMと躍進を続けている。大手事務所に移籍し、最近は一時期のような過剰な露出はなくなったが、NHKへの出演も果たした。

『エロスのお作法』