平成世代迎合を図った「BAILA」、「BUZZってる」のセンスに感じたアラサー雑誌の必死感
次の着回し特集は「ZARA、ミラ オーウェン、ユニクロ プライスコンシャス着回し14Days」。この3つのブランドのアイテムで14日間がんばりましょう、という着回し企画です。こちらは逆に生活感が等身大すぎて、安らぎよりも悲しくなってきてしまいました。着回し15アイテムの合計が10万5,048円(コート2着を含む)。会社の大事なレセプションで着る服くらい、ZARAの5,546円じゃなくてもいいじゃない!
そして最後は「潜入捜査もおしゃれ&スマートに 絵美里スパイになる。モノトーンベース着回し2Weeks」。え? スパイ……と面食らいましたが、こちら人気作家・柚木麻子さんが原作・脚本を担当した着回し企画なんです。ちなみに主人公は、絵美里28歳、つい最近派遣切りにあったばかりだけど、みんなに内緒でつきあっているS社御曹司との関係は絶好調だから問題なし! と、つまりは無職という斬新な設定です。
ざっくりあらすじを説明すると、絵美里が彼氏の会社のごたごたに巻き込まれて、容疑者になってみたり、スパイになってみたりするわけですが、一番の見どころはその豪快な金銭感覚。1日目に事件の容疑者になり、家に帰れなくなった絵美里は、2日目に服を買い足してビジネスホテルに潜伏します。その “取り急ぎ”購入したものとは……「スパイと言えばやっぱりトレンチ」の8万5,000円、「グレーのニット」5万3,000円など、13アイテムなんと37万9,233円也! 繰り返しますが、絵美里は無職。その後も絵美里は、新聞記者に大人の色気で近寄ってみたり、事件解決後、ちゃっかり仕事を手に入れてのし上がってみたりと大活躍で、やはり御曹司と付き合っちゃうだけのメンタルの持ち主でした。
というわけで、これが巷でBAZZってるらしい「BAILA」の着回し企画。3本ともそれぞれ傾向がはっきり分かれており、幅広い読者を取り込もうとしている感が窺えます。14日間着回した服の総合計が10万5,048円の人と、1日で取り急ぎ買った服の総合計が37万9,233円の人とじゃ、話題がまったく合わなさそうですが、そこを「コンサバ」という共通項で結ぶことでバイラーズという集団ができ上がっているような気がしました。まぁ、スパイ絵美里は「AneCan」(小学館)あたり読んでそうだけど……。
いつもの読者層よりもストライクゾーンを大きく取った「BAILA」1月号。しかしお洋服に国境はありません。今までサマンサタバサが大好きだった「AneCan」女子も、SEKAI NO OWARIに胸をときめかしている平成世代女子も、「コンサバなネイビーのニットが着たい!」と願うのならば、きっとバイラーズのお姉さんたちは受け入れてくれるはず。今後、「BAILA」がどのような路線に進んでいくのか、次号が楽しみです。
(ルイーズ真梨子)