サイゾーウーマンコラム「伝統的な家族」の胡散臭さを疑おう コラム 深澤真紀の「うまないうーまん」第20回 バチカンが同性愛肯定へ……「伝統」を疑い、新しい家族像を考えよう 2014/10/22 19:30 深澤真紀の「うまないうーまん」 「これは、法律用語でできた無味乾燥な一節を単に法典に加えた、という話ではない。言葉の上では小さな変化かもしれないが、何千もの市民の生活にかかわる計り知れない変化をもたらすものだ。私たちは、遠くにいるよく知らない人たちのために法律を制定しているのではない。私たちの隣人や、同僚や、友人や、親族が幸福になる機会を拡大しようとしているのだ」 マイノリティの権利を守るということは、こういうことだと思う。隣人が幸福になることが、自分自身の幸福にもつながるのだ。 そもそも異性愛者だからといってセクシュアルマジョリティ(性的多数者)であるとも単純には言えない。それぞれの性的な嗜好は細かく違っているものだからだ。そして、セクシュアルマイノリティを「病気」や「趣味」と片づけ、自分には関係のないことと思う人も多いかもしれないが、「正しい性」などというものはない。自分には関係のないことと思うより、自分にもマイノリティの部分があると思ったほうが、お互いに生きやすくなるものだ。 結婚や家族などについて、「それは伝統的ではない」「気持ち悪い」「(離婚したり、同性のカップルだったりしたら)子どもがかわいそう」などと思っていると、自分がその「伝統」から外れてしまった時に(例えば離婚などは誰しも起こりうる事態である)、自分を追い詰めることになってしまうからだ。 深澤真紀(ふかさわ・まき) 1967年、東京生まれ。コラムニスト・淑徳大学客員教授。2006年に「草食男子」や「肉食女子」を命名、「草食男子」は2009年流行語大賞トップテンを受賞。雑誌やウェブ媒体での連載のほか、情報番組『とくダネ!』(フジテレビ系)の水曜コメンテーターも務める。近著に『ダメをみがく:“女子”の呪いを解く方法』(津村記久子との共著、紀伊國屋書店)、『日本の女は、100年たっても面白い。』(ベストセラーズ) 前のページ12 最終更新:2019/05/17 20:07 Amazon 平成男子図鑑 (NB online books) 人間なんて時代とともに変化してるっていうのに! 関連記事 【第17回】「未婚女性も父子家庭も、差別される理由はない」という当たり前の概念が通用しない社会【第13回】法整備や父親を知る権利が整わないまま進む、個人間の精子提供【第10回】「血縁こそ家族」思想が壁となる、里親と養子縁組の未周知問題【第6回】同性カップルや機能不全家族を想定していない、自民党の「第24条」改正草案の狭窄【第1回】出産を神格化・扇動する声に思う、“産むか産まないか”は本当に女の一大事!? 次の記事 『子供はわかってあげない』の鮮やかさ >