深澤真紀の「うまないうーまん」第17回

「未婚女性も父子家庭も、差別される理由はない」という当たり前の概念が通用しない社会

2014/07/22 22:00
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イラスト:小野ほりでい

 東京都議会の本会議で、みんなの党・塩村文夏議員が妊娠や出産に悩む女性への支援策について質問していた際に、「自分が早く結婚したらいいじゃないか」などのヤジが飛んだ問題だが、差別発言を受けた側である塩村議員の態度や過去への言及までされてしまった。
 
 この問題については私の考えは、「どんな過去でも差別を受けていいということはない」ということ、「差別を持つ」という考えを変えることはできないが、「建前とルールとしての人権を守る」ことがまずは大事だ、ということである。

 「これがセクハラ(性差別)なのか」という意見もある。そもそもセクハラや性差別は、男性から女性だけにされるものではない。男性から男性、男性から女性、女性から女性へだってされるし、そのすべてが問題なのである。

 そしてあまり話題にならなかったが、こんなヤジも飛ばされた。

 「『再婚したほうがいい』とやじ 旭川、父子家庭市議に」(2014/07/11、共同通信)

 北海道旭川市議会の一般質問で、妻を病気で亡くした男性市議が、同じ会派の男性市議から「再婚したほうがいい」とのやじを受けていたことが11日、わかった。やじを受けた保守系会派、市民クラブ所属の木下雅之市議(37)によると、6月25日の本会議で、自身の経験を踏まえて父子家庭への支援策を質問した際、同じ会派の福居秀雄市議(57)からやじがあった。取材に対し福居市議は「『再婚した方がいいね』とつぶやいた。木下市議の境遇を知っており、エールのつもりだったが、議会では不適切だったかもしれない」と釈明した。


 これも、塩村議員へのヤジと同じくらい問題であり、セクハラであり、性差別である。

 そもそも「地方自治法」の「第2編普通地方公共団体 第6章議会 第9節紀律」には、「第132条 普通地方公共団体の議会の会議又は委員会においては、議員は、無礼の言葉を使用し、又は他人の私生活にわたる言論をしてはならない」とあり、塩村議員へのヤジも、この父子家庭議員へのヤジも、問題なのである。

(010)格付けしあう女たち (ポプラ新書)