サイゾーウーマンカルチャー「黒バス」被告の自分設定の奇妙さ カルチャー 「黒子のバスケ」傍聴にて 「黒子のバスケ」公判で被告が饒舌に語った、“努力”と“自分設定”の奇妙さ 2014/08/14 19:00 黒子のバスケ傍聴 『黒子のバスケ』(集英社) 6月に「黒子のバスケ」脅迫事件の公判第3回に行ってきた。なぜ足を運んだかというと、それは被告を生で見てみたいと思ったからだ。この事件は、同作に関連するイベントや同人誌即売会、また作者の藤巻忠俊氏の関係各所を狙った脅迫事件である。実のところ、捕まったときも、当時の報道でもあまり興味は持たなかった。ただの嫉妬心から嫌がらせをしていた、オタクの非正規社員、というイメージを報道から受けたからだ。そんな私がこの公判に興味を持ったのは、ネットで被告の意見陳述を見てからだ。やけに論理的な被告に、それ以前の単純動機犯というイメージを覆された。どんな人なのか、真実をこの目で見てみたい。今回、わざわざ大雨の中、傍聴に行った動機はただそれだけだった。 ■傍聴倍率は2.4倍 混んでいるだろうと予想して、裁判所の傍聴席の行列へ締め切り20分前に並んでみた。その時点で傍聴希望者は45人。いかにもな感じの記者とライター風の女性、あとは学者っぽい女性もいた。男女比は7:3で女が多かったが、抽選整理券締め切り直前になってマスコミ関係と思わしき男たちが次々に現れ、結果的に男女比は逆転。中には傍聴して来いと教授に言われたらしい学生の一団も。並び屋らしき人はいないのかと見回したが見当たらない。意見陳述を見て興味を持った人が多いのか、ポツポツと1人で訪れている男性もいた。私がここに来るくらいだから興味本位の輩も多いのも当然だが。結局、85人並んで入れたのは35人、約2.4倍の倍率。抽選なので入れなかったら仕方がないと思っていたが、幸運にも自分の番号は当たっていた。 ■冒頭で前回の陳述を訂正 法廷に入ると、テレビのニュースで流すための廷内の撮影があった。その後、被告人質問が始まる前に、裁判官から「聞かれたことだけ話すように」と一言。これは、被告の意見陳述などが非常に長いため、わざわざ注意したのだと思われた。 公判が始まり、立ち上がった被告は逮捕時の画像よりも疲れた感じに見えたが、いったん弁護人の質問が始まると実に楽しそうにイキイキと語りだした。その姿を見ていると「話をまともに聞いてくれる人が誰もいなかったんだろうな。聞いてくれる人がいればこんな犯罪には走らなかっただろうな」という気持ちが沸いてくる。それが合っているかは本人にしかわからないが。 被告は前回までの公判で「大学受験に失敗し、漫画の専門学校に通ったが、アニメクリエーターの希望もかなわず、好きなバスケットボールの漫画で人気を博していた藤巻さんを強く妬むようになった『人生格差犯罪』」と、犯行の動機を述べていたが、今回は一転して「私は考え違いしていた」と訂正から始まった。今回の被告の回答は、事件を俯瞰して話しているというよりも、あえて言えば“自分プレゼン”だった。まず(前回も述べた)犯行の動機5つから始まり、自分についての設定を3つ、反省しない理由3つ、恨むべき者8人を挙げていた。語尾は「そう考えてしまったのです、はい」とハキハキ答えていた。何かのプレゼンの本を読んだ影響なのかどうかはしれないが、やけに堂々としすぎる印象を受けた。 ここで被告のいう数字について説明しておこう。被告が「自分が生きやすくするために作った“自分設定”が3つある」と語ったその3つとは、 12次のページ Amazon 『黒子のバスケ 1 (ジャンプコミックス)』 関連記事 「黒バス事件」に声を上げない腐女子の“鉄の掟”――侵された女子たちの世界“理想の子育て”と評された母親はなぜ“鬼母”に――「大阪2児放置・餓死事件」ワイドショーと小説が生み出した、「愛犬家殺人事件」死刑判決の女・風間博子の虚像「赤いドレスの通り魔」「ひらひらさん」と呼ばれた連続通り魔・伊田和世の実像「性欲を受け入れてくれる安心感」――女がエロメンで満たされる欲望とは