サイゾーウーマンコラム「アイ・アム・クズ」意識の払拭方法 コラム [連載]安彦麻理絵のブスと女と人生と 「アイ・アム・クズ」意識に呪われた己を慰める、一杯の味噌汁の“リハビリ効果” 2014/07/20 21:00 安彦麻理絵のブスと女と人生と安彦麻理絵 そんな夫の実家は、やはり、というか案の定、「父親が酒を飲まない家」だった。義父は「ペロっとなめる程度」しかダメらしくて、見事に下戸。で、その妻である義母は「自分は飲めるんだけど、夫が飲まないから普段は飲まない」という嫁の鑑のような人なのである。だから「家で宴会」なんてあり得るはずもない。そして。これまた案の定なのだが、私の実家は「親父の晩酌」が当然の家だった。そして母親も酒好きである(私が腹の中にいた妊娠中も気にせず飲んでたそうである)。私が子どもの頃は、仕事が終わった父が家に同僚を連れて帰り、しょっちゅう宴会をやっていた。隣の部屋で寝かされてた私は、襖一枚隔てた茶の間の、大人たちの爆笑トーク、宴会ソングや怪しいヒソヒソ話を、特にうるさいとも思わずに育った。 夫は、自分の両親の事を「『普通』とか『マトモ』な家庭を作り上げる事に、心血注いできた人たち」だと言う。そのせいか夫自身も「普通でマトモである事が一番」というマインドコントロールから抜け出せなくて、それがある意味コンプレックスにもなってるらしい(しかしそう考えると、私のような「バツイチ子持ち漫画家の年上女」が何故、彼との結婚を許されたのか、本気で謎である)。 夫の実家は本当にちゃんとしてる、と、私は思う。そして「普通・マトモ精神」を親に叩き込まれたであろう夫も、「酔っぱらいが嫌い」ってとこで、もう、とんでもなくちゃんとしてるような気がするわけである、だから。私は再婚してから、いつしか自分のことを「クズ」と思うようになった。私はどうしようもなくクズである、と。「ちゃんとした人たちからしたら、私なんて本当に最低なクズ女」。そういう劣等感が、常に頭にカビみたいにはびこるようになってしまったのだ(ま、今まで夫には、酔って散々迷惑かけたので、事実、私はクズなのだが)。 結婚して8年目。夫と一緒にいると、自分が最低なクズ野郎にしか思えなくて正直苦しい、って一体どうなのか? 夫は「オレはマリエちゃんのことをそんなふうに思ってないよ!!」とは言うのだが、しかし時折「……クズ!!!」と思われてるような気がするのは、単なる被害妄想なのか? 夫は私をクズ扱いしてないと言うが、私自身は「お前はクズである」という無言の圧力をかけられてるような気がして、次第に夫の実家に行くのもしんどくなり始めた。「一体自分は、どこまで完璧になれば、ちゃんと認めてもらえるんだろう」などと、本気で思い悩んだりもしたが、答えは明瞭。酒飲むのやめりゃいいだけの話である。それなのに、モタモタと言い訳をしてやめられないのがクズたる所以。 前のページ123次のページ Amazon 酒とナミダとマリエと赤子 (すくパラセレクション) 関連記事 正月帰省、夫の両親との「気の使い合い合戦」で渦巻いたドス黒いものかつて恋愛至上主義だった女が、「恋と男」以外の燃料でキレイになるには……「ほんとにもう、ちゃんと自覚してくれよ!」夫に涙で訴えられた四十路の泥酔騒動料理ひとつであらゆる「汚点」をチャラにする、"お母さん仕事"のゴール母親と昼間に飲んだビールを思い出し、「果報は飲みながら待つ」ことにしたのだ