[女性誌速攻レビュー]「VERY」6月号

「普通のアイテムを普通に着る」がブーム! 「VERY」の複雑すぎる “普通”とは?

2014/05/20 21:00
very201406.jpg
「VERY」2014年6月号(光文社)

 最近、アメリカでは「ノームコア」というファッションがはやっているそうです。直訳すると「過激なほど普通」、どんどん先鋭的になっていたファッショニスタたちが、一周して普通に戻ってしまったということを指すそうです。その影響か、日本のファッション誌でも、「普通のアイテムを普通に合わせて、いかにおしゃれに見せるか」を取り上げることが増えています。

 しかし、普通こそが意外と難しい。そんな中「VERY」(光文社)は、「ノームコア」という流行にちゃんと向き合ってる気がします。最近「VERY」が力を入れているのが、靴下です。普通の着こなしをオシャレにするために欠かせないアイテムが、靴下というわけです。今月号でも、「コンサバさんのための靴下デビュー講座」という企画がありました。スカート、パンツ、スニーカー、パンプス……どのボトムスとどのシューズの間に、どんな靴下を合わせるのが正解かを教えてくれます。

 靴下だけでなく、何を着るにも目に見えにくい細かなルールがある今のファッション。そして、そのルールを制するものがファッションを制するという風潮を感じます。靴下くらいちゃんと履きこなせるくらいの勘の良さがなければ、今の世の中は渡っていけないという空気すら感じ取っています。同じように、「VERY」読者の間にも、「母として妻として女としてどうあるべきか」の目に見えにくいルールがたくさんあり、そのルールを制したものが、女性のカーストを制するという価値観が根付きだしているのかもしれません。

<トピック>
◎コンサバさんのための靴下デビュー講座
◎そろそろ更新!“いいお母さん風”ベーシック
◎村尾信尚さんにSOS「主婦の新聞離れが止まらない!」

■取り憑かれるとヤバそうな「普通」


「普通の服をどうかっこよく、普通に着るか」という問題は、最近の「VERY」のファッションページを一貫する大テーマとなっています。「そろそろ更新!“いいお母さん風”ベーシック」というページも、そのテーマに沿っています。

 このページは、少しずつ変わっていく「ベーシック」の流儀を、細かく教えてくれるという内容。例えば、「膝丈スカートをちょい長めに更新」「バレエシューズをポインテッドに更新」「定番ボーダーを縦ラインに更新」「白ブラウスをギンガムチェックシャツに更新」などなど。そうすれば、今っぽく、しかもマンネリからも脱することができるそうです。

 しかし、それだけで終わらないのが「VERY」。要所要所で「お母さん」というアイデンティティを匂わせてきます。例えば、「スカート丈を更新」というセオリーにのっとった着こなしのコピーに「『一歩間違うとOL風』スタイルも知的に女らしく変身」というものが。この一文に、「いいお母さん」の方が「OL」よりも上ですよ……という目線が感じ取れます。

『VERY(ヴェリィ) 2014年 06月号 [雑誌]』