小保方晴子と壇蜜が教えてくれる、女の「無知と無欲」の使い用
17日放送の『櫻井有吉アブナイ夜会』(TBS系)では、そんな壇蜜がどのような「夜会(芸能人の夜の飲み会)」を行っているのかに迫った。売れっ子の壇蜜なので、さぞおしゃれな場所で、華やかな人脈を披露してくれるのかと思いきや、その期待は裏切られる。
待ち合わせ場所に現れた壇蜜は、ロングのダウンコートにロングスカート、布のバッグとお金をかけているようには見えない地味な服装である。センスも良いとは言い難い。夜会の店も、学生時代から通っているというカレー屋で、しかも「飲み会」がテーマなのに、同席する人物はなし。安い服、安い食事を1人で食べているのだ。
世間のイメージする、売れている芸能人とは真逆の風景である。壇蜜の活躍ぶりから考えて、収入がないわけはないが、壇蜜は贅沢に対して「無知」を貫いている。
カレーを食べながら、壇蜜は、「彼氏がいないのも仕事のうち」「結婚願望はない」「たくさんのものを望んでも手に入らない」と徹底的に「無欲」を語った。無欲の極めつけは、冒頭の「(男とは)ホテルで会って、ホテルで別れる」発言である。相手は明かさなかったものの、壇蜜は昨年の夏にある男性に呼び出されたが、ホテルを間違えてしまったという具体例まで披露した。
壇蜜の「無欲」発言を統合すると、彼女は贅沢を好まず、「私たちってどういう関係?」とか「結婚して!」とか言い出さずに、電話一本で呼び出せて、やらせてくれる存在ということになる。男にとっては、誠に「都合の良い女」である。MCの有吉弘行は「理想の関係。壇蜜さんが相手なら最高」とコメントしていた。
天下の壇蜜がそこまで「都合の良い女」であるはずはないと個人的には思うが、重要なのは真実ではなく、男の受け止め方である。小保方、壇蜜の例を見ていると、男は女の言葉を「耳」で受け止める前に、まず「目」で判断するのではないかと思えてくる。男にとって、見た目が好みである女の言葉は、好意を抱いているが故に、全て「真実」となり疑わない。さらに「男に牙を剥かない、無知で無欲」な態度であれば、ますます男の覚えは良くなる。そう、男は案外理屈が通じないのだ。
企業が能力ではなく、容姿で内定を出すことを「顔採用」と言うが、社会には、顔によって許される範囲が違う「顔恩赦」という制度が存在する。働く女ならば誰もが感じたことのあるだろうこのほろ苦い現実を、あらためて言わずにはおれない今日この頃だ。
仁科友里(にしな・ゆり)
1974年生まれ、フリーライター。2006年、自身のOL体験を元にしたエッセイ『もさ子の女たるもの』(宙出版)でデビュー。現在は、芸能人にまつわるコラムを週刊誌などで執筆中。気になるタレントは小島慶子。
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