仁科友里の「女のためのテレビ深読み隔週報」

ナイナイ・矢部浩之に見る、「非婚主義者だった男が親バカへ」というミステリー

2014/03/30 15:00
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『ナインティナインのオールナイトニッ本 vol.5』(ワニブックス)

羨望、嫉妬、嫌悪、共感、慈愛――私たちの心のどこかを刺激する人気芸能人たち。ライター・仁科友里が、そんな芸能人の発言にくすぐられる“女心の深層”を暴きます。

<今回の芸能人>
「チュッチュ、チュッチュ吸うてる。たまらんわ」ナインティナイン・矢部浩之
『ナインティナインのオールナイトニッポン』(3月21日放送、ニッポン放送)より

 佐村河内守氏の偽「現代のベートーベン」事件や、小保方晴子氏のSTAP細胞捏造疑惑など、「嘘」が世間をにぎわせているが、日常生活に深く浸透しながら、とがめられない「嘘」がある。それは、「男の語る将来設計」である。

 「会社辞めようと思うんだ」「MBA(などの資格)取ろうと思うんだ」「俺は誰とも結婚しない」。これらが典型的男の三大ニセ将来設計である。彼氏との結婚を考えている女子ほど、これらの発言を真面目に受け取り、彼を支えなければと張り切るが、会社を辞める気配はなく、資格の勉強をするどころか、毎日飲み歩いているということは、非常によくある話である。

 会社を辞めない、資格の勉強をしていない程度の話であれば、傍観していればいいので罪がない。が、結婚願望のある女性にとって厄介なのは、「誰とも結婚しない」発言である。彼らは「君のことは大好きだけど、結婚という制度を信じていない」と巧妙に話をすり替える。この手の発言をする男は、女扱いがうまいので、女側は愛されている自信もあるし、それ以上に彼氏にベタ惚れしている。彼に愛されていないというのなら、あきらめもつくだろうが、愛されているのに、結婚はないってどういうことなの? と出口のない迷路にはまることになる。


 一生結婚しない発言に振り回され、涙にくれたり、精神を病む女子を多々見てきたが、私が心から彼女たちに言いたいのは、「それは嘘だ」ということだ。私の周囲で、誰とも結婚しないと発言した男は皆結婚し、時々バレないように浮気をしながら、子煩悩なパパとなっている。一生結婚しない発言の真意は、「君とは違う女性と結婚する」なのではないだろうか。

 その典型例が、売れない時代から支えてくれた元モデルと15年の交際をへて破局、その後、元TBSの女子アナ・青木裕子と結婚し、子どもを設けたナインティナインの矢部浩之である。

 青木アナとはオープンに交際し、同棲すら隠さなかった矢部。結婚については消極的で、同棲中には結婚する・しないでケンカが絶えなかったというが、昨年の春に結婚。その後すぐ青木の妊娠が発覚し、数日前に待望の第一子が誕生した。矢部は産まれたばかりの子どもに夢中のようで、子どもが母乳を吸う様子を冒頭のように描写した。可愛い子どもを産んでくれた青木を称える様子からは、テレビやラジオで「どの女性と付き合っても、結婚をしたいと思ったことが一度もない」と折に触れて非婚主義を掲げていたことが嘘のようである。

『明るく楽しく』