噂の女"神林広恵の女性週刊誌ぶった斬り!【第214回】

遠野なぎこ母の「焼身自殺未遂」が暗示する、縁切りさえ困難な母からの呪縛

2014/03/18 20:10
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「女性自身」4月1日号(光文社)

下世話、醜聞、スキャンダル――。長く女性の“欲望”に応えてきた女性週刊誌を、伝説のスキャンダル雑誌「噂の真相」の元デスク神林広恵が、ぶった斬る!

 拉致被害者の横田めぐみさんの両親が、ついに孫のウンギョンさんと面会を果たした。小泉純一郎元首相の訪北から11年半。この間、さまざまな“報道問題”もあった。救う会や家族会が一種の圧力団体のようになり、自粛や規制が跋扈した。政府の思惑もあり、さまざまな“政治”に翻弄され続けた横田夫妻。そして、あらためて思った。横田滋さんは本当に素敵な理想のお父さんだと。うれしいことを話す時のはにかんだ笑顔。傍らの妻・早紀江さんを心配するよう見る眼差し。つらいことがあっても、冷静で穏やかで、そして必死に堪えるあの表情。日本一のお父さんだと思う。あんな素敵なお父さんを悲劇が襲うなんて。でも滋さんがいたからこそ、拉致問題もここまで辿りつけたと思う。素敵。

第214回(3/14~18発売号より)

1位「遠野なぎこ 実母が『火だるま』焼身自殺未遂の煩悶!」(「女性自身」4月1日号)
2位「元体操五輪代表田中理恵 巨人・坂本勇人と“結婚前提”熱愛発覚――『専業主婦に!』恋人の願いと“タレント転身”…迫られる人生の選択」(「女性自身」4月1日号) 
参照「田中理恵 巨人坂本との熱愛報道も、結婚は『まだ』 父が語っていた意外な“理想のオトコ”」(「週刊女性」4月1日号)
3位「明菜 新曲は秋延期 年末コンサート」(「週刊女性」4月1日号)
参照「中森明菜『太陽が見たい』“うつ”からの復活肉声!」(「女性自身」4月1日号)

 タイトルを見て驚いた。「焼身自殺」というセンセーショナルな言葉。女優・遠野なぎこの母親が焼身自殺を図っていたという衝撃記事。遠野といえば女優である以上に、バラエティなどで母親との確執を告白し大きな話題となったタレントのはしりでもある。ここ数年、女性芸能人の何人もが(例えば杉本彩、小島慶子、LiLiCo、田中美奈子)母との確執を抱えていることが明らかになり、それをテレビなどで告白するケースが増えている。それは何も著名女性ではなく一般人も同様のようで、母と娘の確執、いわゆる “毒母”問題がメディアなどでも取り上げられ、急速に一般化しつつある。遠野はその代表格といっていい。

 遠野は幼少期から母親に虐待されていたという。昨年には母親との関係を暴露した著書も出しているが、そこには母親からの虐待があまりに赤裸々に描かれていた。小学生で母の再婚相手と一緒にお風呂に入ることを強要されたり、性的な写真を見せられたこともあったという。もちろん母との確執をテレビで何度も声高に訴える遠野に、違和感(母親は存命していること)や売名行為といった批判の声もある。だが、個人的にはブラウン管から見える遠野は、深い心の傷を負っているように見える。批判されがちなエキセントリックな言動も、そうした虐待や幼児体験、母との関係にあったと言われれば納得がいく。遠野にとって母との関係を公にすることは一種の治療効果で、母との関係を吹っきろうとしたのだろうと。


 だが母親への絶縁宣言とも思える著書を出した半年後の昨年秋に、母親が焼身自殺を図った――。

 なんともやり切れない話である。遠野は母親の虐待のため、摂食障害や強迫神経障害を患ったと告白しているが、虐待は連鎖するといわれるように、母親もまた虐待被害者であり、精神的に不安定な人物ではなかったのか。焼身自殺は自殺の中でも衝撃度が高い。そして、焼身自殺はチベットやベトナムの僧侶が宗教弾圧に対しての「抗議」といったイメージも強い。母親は娘に「抗議」するためにこんな行為を行ったのか。そんなことまで想像してしまう。

 しかし、どうやら幸いなことに母親は既に退院し、パニック障害の治療のため通院をしているという。うん? 記事によれば母親は自分で灯油をかぶり、火をつけたという。もし、これが本当ならば大やけどは必至だ。やけどは死亡する危険性の高いものだし、感染症などもある。だが、既に退院したということは、やけどは大したことはなかったのか? 灯油の量が少なかった? 誰かそばにいて、すぐに火を消してくれた? 通院もやけどではなくパニック障害ものらしい――。

『働くママ専業ママ子どものためにどっちがいいの?』