今年の圧倒的勝者は『ムービー43』

今年のラジー賞は粒ぞろい! ウィル・スミス親子、K・カーダシアンらが受賞

2014/03/03 18:40
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親バカって、意外と役者にとっての命とりだよ?

 毎年、ハリウッドスターにとって「最高の栄誉」であるアカデミー賞授賞式の前夜に発表される、「不名誉で不愉快この上ない」ラジー賞。映画をこよなく愛するゴールデンラズベリー賞財団の会員の投票により決められる、「その年最低の映画」を決める賞であり、長年、ハリウッドスターたちは無視し続けてきた。

 しかし、2004年に『キャットウーマン』で最低主演女優賞を獲得したハル・ベリーが、アカデミー賞のトロフィーを片手に受賞スピーチを行い、拍手喝采を浴びてからというもの、ラジー賞をうまく使えばイメージアップになると認知されるように。10年に『ウルトラ I LOVE YOU!』で最低主演女優賞に輝いたサンドラ・ブロックは、授賞式にDVDをごっそり持参して現れ、「本当は、見てないんでしょ!」と悪態をつき、会場を爆笑の渦に包んだ。

 本年度も1日にロサンゼルスで行われたラジー賞。あまりにも大コケした駄作が受賞したため、しゃれにならないと思ったのか、残念ながらスターたちは姿を見せなかったが、受賞作・受賞者はどれも納得いくものだと報じられている。

 まずは本年度の最低主演男優賞。5回目の最低主演男優賞を狙うシルヴェスター・スタローンは、どれもこれも鍛え上げられた驚異的な老体ばかりが際立つ『バレット』『大脱出』『リベンジ・マッチ』の3作でノミネート。ジョニー・デップは、だらだらしたストーリーで「製作する意味すらない」と酷評された『ローン・レンジャー』で初の最低主演男優賞ノミネートとなったため、受賞の確率は高いと予想されていた。10年に『キス&キル』『バレンタインデー』で最低主演男優賞に輝いているアシュトン・カッチャーは、「伝記映画としては最低につまらない」と貶められた『スティーブ・ジョブズ』でノミネート。面白いが、コントを見ているようでストーリー性ゼロと評された『アダルトボーイズ遊遊白書』のアダム・サンドラーは、過去3回同賞を受賞した記録の持ち主であるため、有力候補だとみられた。

 だが、そんな大物達を抑えて最低主演男優賞を獲得したのは、ウィル・スミスとの親子共演作『アフター・アース』で主演を務めたジェイデン・スミスだった。ラジー賞を創設した映画パブリシストのジョン・ウィルソンは、英「BBC」の取材に対して、「昔からのハリウッドの伝統として、スターが自分の家族もスターにしようとしても、成功するとは限らないということなんだよ」と説明。残念ながらジェイデンはウィルほどのスターにはなれていない、と匂わせた。


 次は最低助演男優賞。人気海外ドラマ『The O.C.』に出演するなど、俳優としても活動している歌手クリス・ブラウンは、Bボーイたちの奮闘を描く『Battle of the Year』で相変わらずの大根俳優ぶりを発揮しノミネート。『アダルトボーイズ遊遊白書』でうざい演技を披露したテイラー・ロートナーと人気コメディアンのニック・スウォードソンもノミネートされた。

 しかし、最低助演男優賞を獲得したのは、ウィル・スミス。『アフター・アース』で脇役に徹したものの、「ウィルが活躍しないからつまらない」と叩かれ、「ウィルのアクションが見られないなんて肩透かしをくらった」とブーイングされたのが受賞したポイントとみられている。なお、ウィル&ジェイデン親子は、本年度から作られた最低スクリーンコンボ賞にも輝いており、「縁故主義惑星に取り残された人たち」という言葉まで添えられていたが、妥当であるといえよう。

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