噂の女"神林広恵の女性週刊誌ぶった斬り!【第209回】

宇多田ヒカルの婚約者の言葉に泳がされた、日本取材陣の失態

2014/02/11 22:00

 ここまでいわれたら、舞い上がってしまっても当然だ。かなりの期待が持てる返答! おそらく記者の頭には既にこんなタイトルが浮かんでいただろう。「日本メディア初! 宇多田ヒカル婚約者が2人の関係を赤裸々に初激白!」。だが、しかし——。

 記事はイタリア取材に移る。今度は結婚をスクープしたイタリアの月刊誌記者に取材をする「自身」記者。既に明らかになっているような2人のなりそめ、婚約者の家族や経歴、性格などをあらためて聞く「自身」記者。そしてお次は日本の長野である。ご存知、宇多田の元彼で画家の福田天人の実家を直撃、というわけだ。対応した福田の父親は、「何もお話することはありません」と取り付く島もなかったようだ。以上、終わり。うん?

 そうなんです。婚約者とは勤務先のバーで接触しただけで、その後は一切の記述はないのだ。「連絡する」と約束した婚約者は、「自身」記者にその後連絡をくれなかったのと推察される。それも当然といえば当然。宇多田のメディア嫌いは有名だ。今回もHPでプライバシーを守ってほしいとのコメントを出しているし、バーテンダーがしゃべりたくても宇多田に相談すれば「ダメよ」と一蹴させるのは目に見えている。だが「自身」記者はそんなことも忘れるほど舞い上がっていたのだろう。だって、婚約者の写真さえ押さえていないのだから。「撮影ですか? それも今はやめてもらえますか」こんな婚約者の言葉を信じ、期待したのだ。「“今は”ってことは、今度連絡が来たときは撮影OKってことだ!」と。

 わざわざロンドンまで行って、婚約者の写真の1枚も撮らないなんて。何のために行ったんだ! 高級ホテルのバーで酒飲んだだけか!? まさか花束渡してお祝いを言いにいっただけ? 撮影を拒否されたからって、隠し撮りの1枚もなし? ツーショットを狙う気概もないのか!! 残念を通り越し、怒りさえ感じてしまう。さらにイタリア取材も、現地に行ったわけではなく、電話取材だった疑惑が濃厚だ。というのも、今回の記事には2人が結婚式を挙げるイタリアの教会写真が掲載されているが、これは「自身」が撮影したものではなく、結婚をスクープした地元誌記者から「提供」されたものなのだ。確かに記事でも「ロンドンには行った」が「イタリアに行った」とは書かれていない。記事タイトルには「日英伊」三カ国緊急取材と銘打たれているのだが……。なんだか雑誌業界の不振、そして出版不況を目の当たりにしたようで。

 10年ほど前まで、自分の子どもをジャニーズに入れたいという親が信じられなかった。「もしかしたら、最愛の息子がジャニーさんと…」「10代のわが子のお尻が…」そんな事態が想像できるのになぜ?? と大いに疑問に思っていたのだ。だが、元男闘呼組の岡本健一が自分の息子をジャニーズに入れたり、有名芸能界の子息もジャニーズに入るようになって「ジャニーさんも年を取ったんだな」「大丈夫なんだな」と納得するようになった。ならば、わが子をジャニーズに入れたいと思う親は確かに多くて不思議ではない。


『Wink up (ウィンク アップ) 2014年 03月号 [雑誌]』