カルチャー
[女性誌速攻レビュー]「steady.」2月号

マスコミ、アパレル、プレス……「steady.」がキラキラ横文字へのあこがれを捨てた!

2014/01/21 15:15

■「あこがれなき女性誌」はアリ? ナシ?

 先月から、雑誌のキャッチコピーが「きちんと可愛いオトナOL宣言」に変わったことは、前回お伝えしましたが、今月は「きちんと大人可愛い! steady.OL密着24Hレポート」 という特集がありました。キャッチコピーでは「可愛いオトナOL」だったにもかかわらず、特集では「大人可愛いOL」になっているのはご愛嬌……なのでしょうか。前回、「大人可愛い」というツッコまれそうな言葉をあえて外して、「可愛いオトナ」という変化球を投げたのではと書きましたが、やはり「可愛いオトナOL」という耳慣れない言葉より、一般化した「大人可愛いOL」の方が、痛くないのではと気づいたのかもしれません。深読みだとは思いますが……。

 気になる内容は、「仕事もプライベートも充実している女子って、なぜ、あんなにキラキラしているの?」という疑問から、注目女子に密着してみようというもの。登場する注目の女子は、保険会社広報、設計事務所勤務、会社受付、保険会社事務といった人選です。

通常女性誌で、働く女性を紹介する際は、テレビ局などの大手マスコミや、アパレル会社のプレスといった、無駄にキラキラしているカタカナ職業の人選になりがちなのですが、「steady.」では、より読者層に寄った人選になっています。

 女性誌では「等身大」という言葉が魅力的に使われることがありますが、それは、実はそのまま「等身大」というわけではなく、読者の「こんな女性になりたいな」という憧れ込みで「等身大」が語られます。とすると、このページは、読者にとってリアリティがありすぎる気も。まるで自分自身や、友達の24時間を見ている気になるのでは。もちろん、「steady.」に登場する人にだって、面白いドラマはあるでしょうが、24時間の内訳を見ても、「打ち合わせ」とか「膨大な重要書類をパソコンで処理」とか、みんな同じような項目ばかりピックアップされ、写真からもそれぞれの仕事の違いがあまり見えてきません。

 やはり、ほかの女性誌で見るような、大げさなくらいのスーパーウーマンの恍惚感ほとばしる24時間の方が、読み物としては面白い。しかし、トゥー・マッチな演出は「steady.」らしくないと判断されてしまったのかもしれません。

 常日頃、「女性誌とは、あこがれを喚起する麻薬のようなもの」と身構え、過剰に摂取するのは現実感を損なうと思っている筆者ですら、「steady.」にはもう少し「あこがれ」の要素も必要ではと思ってしまいました。それは、あまりにも現実感がありすぎると、雑誌全体に侘しさが漂ってしまうから。女性誌には、実用だけでなく、あっと驚かせてくれるような娯楽性もほしいのです。

 それと、これは紙媒体だけでなくウェブ媒体にも共通しますが、読者はコンテンツに対して、どこかで「ボケ」役を望み、そこにツッコミを入れることに、楽しさを見出している部分もあるのではないでしょうか。味気ない「きちんと大人可愛い! steady.OL密着24Hレポート」は、そんな読者の欲望を、あらためて気づかせてくれたような気がします。
(芦沢芳子)

最終更新:2014/01/21 15:18
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